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7インチ盤専門店雑記711「M」
1970年代末にいきなり登場したシンセ・ポップ・ユニット「M」を憶えていらっしゃいますか?「ポップ・ミューヂック Popu Muzik」のあのMです。「ポップ・ミューヂック」はテクノとディスコの融合などと言われ、斬新なリズム中心のシンセ・ポップで一世を風靡しました。英国で2位、米国で1位になっておりますから大ヒットですね。
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このユニット、英国のロビン・スコットという人物を中心にしたものですが、そもそも実体は無いに等しいもので、やれ弟だのスタジオのオーナーだのにいろいろ手伝ってもらって作った音源だったようです。「一発屋」という言葉は彼のためにあるようなものですが、正真正銘の一発屋というわけでもありません。
元々はデヴィッド・ボウイが主宰する音楽ラボで職業作曲家として働いていた人ということですが、マルコム・マクラーレンや坂本龍一とも一緒に仕事をしていたりするので、実は結構実力がある人なのかなという気もします。ヒット曲を量産したわけではありませんから、素性が分からないんです。Wikipedia等でも大した情報はありません。amassにインタビュー記事が載っていた程度で、謎の人物ではあります。それでもアルバム4枚と数曲のシングルはリリースしておりますから、もう少し情報があっても良さそうですけどね。
手元に7インチ・シングルが3枚あります。79年の大ヒット「ポップ・ミューヂック」、同年の「ムーンライト&ミューザック」、80年の「オフィシャル・シークレッツ」です。「ムーンライト~」はいかにも「ポップ・ミューヂック」の余勢という印象の面白くもない曲です。音もあまりよくないのでビックリします。一方「オフィシャル・シークレッツ」は音もいいですし、曲も如何にも80年前後のテクノのルーツ的なもので、何となく時代的に面白かったりします。ギターのオーバーダブなどが少々粗い気もしますが、ウルトラヴォックスに加入後のミッジ・ユーロのヴォーカル・スタイルの源流もこの辺にあるのかという気がするほどです。とにかくヒットしていないとはいえ、これが1980年に出ていたことは賞賛に値します。
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最近、アレとアレは似ているよねという会話が多く飛び交っておりまして、このMの「ポップ・ミューヂック」もかならず名前が出てきます。これとヒューイ・ルイス&ザ・ニューズの「アイ・ウォント・ア・ニュー・ドラッグ」が似ていると、一応訴訟になっておりますね。ついでに申しますと、「アイ・ウォント・ア・ニュー・ドラッグ」とレイ・パーカー・ジュニアの「ゴーストバスターズ」も似ているということで、ヒューイ・ルイス側が訴訟を起こしておりますね。結果はどうなったか知りませんが、3曲ともヒットしているのが面白いですね。
私はYMOは全く通って来なかった人間でして、せいぜいでスネークマンショーで少し知っている程度でした。でもウルトラヴォックスやクラフトワークはガッツリ聴いてきたクチなので、テクノが聴けないとか、ピコピコが苦手ということもありません。あの時代、フツーに新しい音楽として受容できるものでした。Mはどうかというと、こういう耳に残るポップな曲が嫌いではありませんから、わりと直ぐに買いましたよ。…ミュンヘン・ディスコは聴きませんが、…どこが違うんだと言われたら説明できませんけどね。