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7インチ盤専門店雑記671「グレート・カヴァー4:レディ・フォー・ラヴ」

果たしてカヴァーと呼んでいいのか分かりませんが、ミック・ラルフス作の「レディ・フォー・ラヴ」は2種あります。オリジナル・リリースのモットー・ザ・フープル版とバッド・カンパニー版です。つまり両方とも作者がギタリストとして在籍している音源ですから、作者的にはリメイクですかね。ただ70sを代表する名盤2枚に入っているわけですから、なかなかに凄いことです。

自分が買った最初のギターが、グレコのミック・ラルフス・モデル、MR1000だったこともあり、この曲は随分弾きました。シンプルなリフが如何にもな70sロックです。個人的には意外なほど完成度の高い曲だと思っております。

モットのオリジナル・リリース時、イアン・ハンターの声質が合わず、歌うことを嫌がられたために自分で歌うことになってしまったわけです。やはりモット版の弱点はヴォーカルでしょう。本人もそこが分かっているからこそ、新バンド、バッド・カンパニーのファースト・アルバムでもやったのでしょう。如何にも上手く歌えるポール・ロジャースがいるわけですからね。

ただ、音楽の面白いところはここからで、上手けりゃいいというものでもないですからね。私個人の好みで言えば、モット・ザ・フープルの方が好きだったりします。如何せん大好きなアルバム「すべての若き野郎ども」に入っているわけですよ。

このアルバムのA面、まずルー・リードのカヴァー「Sweet Jane」から始まります。ミドル・テンポのロックンロールでこのバンドのサウンドになっています。続く「Momma's Little Jewel」はダブル・ミーニングが楽しい曲です。やはりバンドのカラーが出ています。…というか、このバンドでないと格好良くない曲でしょう。テクニックを聴かせる連中ではないことが分かります。そして続くタイトル曲「All The Young Dudes」が文句なしの大名曲です。デヴィッド・ボウイが窮状に陥っていたこのバンドに提供した曲です。一緒に歌ってしまいます。そして「Sucker」「Jerkin' Crocus」という、いかにもモットという曲が続く流れがいいんです。もうA面だけで名盤確定です。

B面は少々テイストが異なります。実に英国B級バンド的なサウンドがA面の興奮を冷ますように配置されております。ラストはいかにもイアン・ハンターらしい「Sea Diver」で締め括りますが、その前に置かれた「Ready For Love / After Lights」が別の顔を覗かせているようで、いいバランスなんです。アルバム全体を俯瞰すると、この曲の重さがいいカウンターパートになっているんです。ここに配置したからこその相互作用が、このアルバムを名盤たらしめているように思うのです。

バッド・カンパニーのファーストも大好きな盤です。ロック界最高レベルの上手いヴォーカルがいて、曲も粒ぞろいのグッド・プロダクションです。デビュー盤特有の勢いもあります。それでも愛すべき盤としての魅力は「すべての若き野郎ども」の方が上なんです。…ハイレベルの比較ですけどね。

いやー、久々聴きましたけど、やっぱりいいですね、両方とも。

しっかし、何だかんだ言って、Bad Co.、50年前のアルバムなんですよね…。

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