清澄白河カフェのキッチンから見る風景 : 素晴らしい世界
ヘッダー写真は2月末に発売された村上春樹の新刊「デヴィッド・ストーン・マーティンの素晴らしい世界」です。といっても小説ではなくてレコード本です。彼の場合、小説よりもこういったものの方が最近は面白いです。以前はデータベースも作って読み込んでおりましたが、どうも長編はパターンがマンネリ化しておりますし、イマイチ面白いと思えるものが出ません。短編集やエッセイは相変わらずのクオリティですから、もう無理に長編を書かなくてもいいような気もします。これも言ってみれば音楽エッセイということになるでしょうが、評論とかとは違って、ジャケット・デザインの話ですからね。
そして素材が古いジャズのレコードでよく見かけるデヴィッド・ストーン・マーティンです。最もお得意な分野でしょうから、クオリティは読む前から保証されているようなものです。160ページほどの薄さですが、ジャケットはすべてカラーで、しかも発色にも拘ってオリジナルに近いものを使ったとか、コレクターでないとできない仕事を披露しております。実はもうそれだけでも素晴らしい価値のある一冊なんです。少々お高い気もしましたが、手元に置いておく価値がある一冊です。
さて、素晴らしい世界という言葉からついつい考えてしまうのが、村上春樹がエルサレム賞受賞スピーチで語った壁と卵のはなしです。イスラエルとパレスチナが戦争状態にあるなか、彼が今何を考えているか気にはなるところですが、まあ基本的に平和がいいに決まってますよね。常に弱い立場の側に立つ氏の、あのスピーチは賞賛すべきですし、繰り返し読んで咀嚼しております。勇気がない自分には言えない言葉だなとも思います。
どちらが正しいとも言い切れない戦争というものに関して、極東の島国の住人の常識は通用しないでしょう。強大な戦力があるからとイスラエルを非人道的と決めつけ、悪く言う論法が理解できずにいます。新聞やニュースを読むのが辛くなっております。NATO加盟を公約に大統領になったゼレンスキーが、ロシア相手にまずふっかけたという構図も同様に悩ましいものです。外交儀礼的に何かしら欠けていたのではという気もします。まあカフェめし屋のオヤジが何を言っても、世の中は何も変わらないわけですけどね…。
明日は定休日ですが、児相、児童相談所のイベントに場所を提供してお手伝いすることになっております。辛い環境に置かれた子どもたちが、少しでも希望が持てるような世界なのか、大人たちがまず冷静に考えないといけませんよね。あまりにも余裕が無さすぎて、当たり前にできていなければいけないことができてない今現在、ルイ・アームストロングの「この素晴らしき世界」でも聴いて、少し冷静に考えてみたいと思います。ぜんぜん他人事ではなくて自分自身のこととして、イベントのお手伝いをさせていただきます。機会を与えていただいたことに感謝しなければいけませんね。
また「グッドモーニング、ベトナム」でも観ておきますかね…。自分にできることは、そのくらいしかないでしょうからね。