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7インチ盤専門店雑記563「Honky」

キース・エマーソンのファースト・ソロ、1981年の「Honky」です。バハマで現地のミュージシャンと録音したという、妙に明るく元気なアルバムです。…悲しくなるほど明るいです。1979年で一旦ELPの活動を終了させた後の最初の録音ということで、開放感に満ちたと言われるのですが、…解放感ですかね?…そんなにストレスフルだったんですかね?

打ち寄せる波に浸かりながらキーボードを弾いているヴィデオとか、本当にこんな気分だったんですかね。再結成後のライヴを何度か観ておりますが、いい意味での緊張感を孕んだ最高のライヴでしたけどね。筋肉質なカール・パーマーと、自分の世界を確立しており歌いたいグレッグ・レイクと、話が合うわけないでしょうに。それを纏めるのは大変でしょうが、やりたいようにやらせておくしかない気もしますよね。

1976年にリリースした「Honky Tonk Train Blues」は数限られた7インチ・シングルですから、耳にする機会も多いのですが、本音でこういうのをやりたかったのか、クラシカルなものばかりじゃないということを見せたくてやったんですかねぇ?アーティストって難しいな、大変だなと思わせるレコードなんですけどね。

自分はラグタイムとかブギウギとかホンキートンクといったリズミカルなピアノは結構好きなんです。ジョシュア・リフキンの研究発表的なレコードも若い頃から買い集めて、しっかり聴いてはいるんです。映画「スティング」の世界観、「The Entertainment」とか「Maple Leaf Rag」とか、何気に大好物です。

キース・エマーソンがマービン・ハムリッシュに触発されたのなら、もっとやり方もあったでしょうし、ファンの中にはそういうテイストの演奏を求めていた人たちもいらっしゃると思うんですけどね。この81年の「Honky」、売れなかったというか、ファンからあまり好意的に受け入れられなかったということですが、イタリアではヒットしたんですと。…イタリアだけ!

プログレッシブ・ロックって国民性が出るようで、フランスでは全く人気がない一方で、イタリアだけで売れる曲もあったりするんですよ。キース・エマーソンの「Honky」、全くプログレ的ではありませんが、キース・エマーソンの演奏はプログレッシブなところがあるんですかね?何故イタリアでだけ売れたのか、そこが知りたいですね。洋楽には日本でまず売れたというバンドもあるので、諸々の事情があるのでしょう。テレビ等のCMタイアップとかいった事情はあまり面白いものではありませんけどね。

さて、この「Honky」、何気にELPで聴かれるキース・エマーソン的なフレーズが溢れており、それほど悪くないなという印象です。ファンがELPとしての活動を望むのは仕方ないのでしょうが、ソロももう少し好意的に捉えることはできないですかねぇ。貴重な音源だと思いますけどね。

リアルタイムでは売れてないのでレア盤だとは思いますが、相場はまあまあなんですよね。超美盤なので値付けが難しい一枚です。

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