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7インチ盤専門店雑記805「最後の砦」

なんだかんだ言っても、ジャズ好きが戻ってくるところとしてマイルスは絶対的な存在でしょう。私も最初はロリンズですが、ブルーノートを聴き漁り、コルトレーンも聴きまくり、それからマイルスの公式音源を聴き尽くしてから、さらにいろいろ聴き漁っていったわけです。遡ってパーカーも聴き、コンテンポラリーなものも聴き、ピアノ・トリオも聴き、フリーも一通り聴いて、結局「マイルスはいいなぁ…」となるわけです。文字通り、ときどき戻ってくるところのような存在です。

ヘッダー写真は、その最後の砦的な「Kind Of Blue 50th Anniversary」のボックスですが、もうそれこそ白手袋並みに扱っておりまして…ロクに聴いておりません。老後の楽しみです。もちろん「Kind Of Blue」はめちゃくちゃ聴いております。CDでも紙ジャケだなんだと3〜4回買いなおしておりますし、アナログもモノラルだ、ステレオだ、なんだと随分買いました。同じタイトルで買った回数ではキャロル・キングの「タペストリー」と並んで最も多いかもです。

でも普段からそれなりに聴いてはおります。普段聴きは…HDDだったりするわけです。まあアルバム本体に限らず、1959年60年頃のマイルスは、いろいろ楽しめるアイテムが流通しておりますよねぇ…。

例えば「Thr Complete 1960 Holland Conerts」というアイテムもあります。残念ながらピアノはビル・エヴァンスではなくウィントン・ケリーですが、だからこその面白さも探れます。もちろん目的は「So What」ですが、ここでは3種聴かれます。何が面白いかって、毎晩同じような演奏を繰り返したわけではないのですよ、これが。常に試行錯誤しながら最高を目指しているような面白さがあるんです。10:23、9:00、17:37という長さからも知れますよねぇ…。ま、主にコルトレーンが面白いわけですけどねぇ…。いいんですよ。

もう一つ、こちらは1958〜59年の寄せ集めですが、やはり3種の「So What」が聴かれます。59年4月2日のテレビ用音源9:40、8月7日シカゴでのラジオ放送用音源11:50、そして8月25日ニュー・ヨークはバードランドでのライヴ、これもラジオ音源13:15です。…まあ他にもありますが、箱2つで6テイク聴けるわけですよねぇ…。さすがに他のアーティストでは、これだけ多くの聴き比べができるネタが無いでしょう。「飽きないのか?」と言われそうですが、…飽きませんねぇ…。

ただ最終的にリリースされたアルバム「Kind Of Blue」が100%満足しているわけではないのです。何故なら、この時期、つまりビル・エヴァンスが行動を共にしている時期でして、「On Green Dolphin Street」をやっているのですが、これが収録されておりませんよね。未発表音源集的な「1958 Miles」に入っているテイクでもよかったので、入れておいて欲しかったんです。

だってこの時期のライヴではやっているんですよねぇ…。例えば1960年3月21日の「Live In Paris」のセットリストは以下の通りです。
1. All Of You
2. So What
3. On Green Dolphin Street
4. Walking
5. Bye Bye Blackbird
6. Round About Midnight
7. Oleo
8. The Theme

「So What」に続いて演奏される、結構重要な曲だったはずなんですけどねぇ。…純粋に個人的な好みの問題ですかね。贅沢言ってスミマセン。

ちなみに、他にもいろいろありますが、パリ・ライヴは私が生まれた2日前でしてね。どうでもいいことなのですが、他よりも思い入れがあるんです。

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