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7インチ盤専門店雑記825「ロンリー・ハートの在庫」
80sイエスの大ヒット曲「ロンリー・ハート Owner Of A Lonely Heart」も余剰在庫を抱えておりますが、これはコツコツ買い集めたものではありません。オークションで10枚いくらとかで入手したものです。叩き売りというやつですね。ただ手違いで20枚落としてしまい、随分売れてようやく半分になったところです。
この曲、もちろん嫌いではありませんが、アナログ盤の世界では意外に人気が無いんですね。玉数が多すぎるのか、廉価ボックスの常連さんです。盤質やマトリクスに関わらず、300円とかいった値段で売られております。ヘタするともっと安いです。イエスのコアなファンからはむしろ嫌われていたりしますからねぇ…。その辺の事情ですかね。繰り返しますが、私は嫌いではありません。
80sイエスの7インチ盤といえば、オーディオ・イベントでも確実にドヤ顔ができる「ラヴ・ウィル・ファインド・ア・ウェイ」、また空間的な拡がりを確認するのに最適な「リーヴ・イット」などという楽曲がありまして 、すべてがこのレベルで良い音かと思わせますが、そうでもない曲もあったりします。アルバムでは気にならなかったのが7インチ・シングルだと意外に差が出るようで、何か相性のようなものがあるのでしょうか。
しかもですねぇ…、問題なのが「ロンリー・ハート」なんですよ。結構個体差があると言うのか、マトリクスの若い方は許せるのですが、少し大きい番号になると、意外なほどあっさりした鳴りなんです。デジタルぽいとでも申しましょうかね。若いマトの盤はメリハリがあるとでも言うんですかねぇ…。あくまで個人的な印象ですが、1-A-4、1-A-7、1-A-8あたりは音質良好、1-A-11、1-A-12、1−A−14となるとチープな鳴りに感じてしまいます。ただ通常は同じ曲を繰り返しかけて聴き比べなんぞしませんからねぇ…。
この曲、アルバム・ヴァージョンは4分27秒、シングル・ヴァージョンは3分50秒です。こういうエディットは必要なんですかねぇ…。ついでに言えば7分以上あるロング・ヴァージョンも存在し、ヴィデオは6分超あります。とにかくドラムスから始まります。妙にエコーがかかった奥の方で叩いているような音です。続けてギターが入ってきますが、少し押さえ気味の音と感じておりました。これの2008年のリマスター・ヴァージョンがウェブで公開されていますが、この部分、もう別物のようなラウドなギターになっております。…やめとけといった印象です。
…ご存知だとは思いますが、本来イントロのギターは少し奥の方で弾いているようなオフ気味な音で、まずは「まあまあか」と思わせておくんですね。ところがベースが意外に近くで弾き始めるわけです。これがこの曲のオーディオ的な面白さでもあると思うんですけどねぇ…。空間的な広がりを楽しむ曲は多いのでしょうが、奥行きを楽しむ曲と考えます。オリジナル・リリースの7インチ盤はそれが存分に楽しめますが、リマスターは皆んな前に出てきてしまって、ウルサイのなんの…。何やっているんだか…。
こういうのっぺりしたデジタル・ライクなリマスターを聴くたびに、アナログはいいなとなります。