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7インチ盤専門店雑記535「The Very Best of ELO」

ELOがクラシックとロックの融合ということで、少々色物的要素も持ったミニ・オーケストラとしてデビューしてきた頃、果たして売れ線を目指していたのか怪しいほどに、好き勝手なことをやっているテイストがあったのですが、ポップな曲が売れて行くに連れて、初期のそういった要素は薄れて行きました。↓ こういった路線は大好きだったんですけどね。

3人のストリングス・セクションを持つバンドと考えると、普通のロック・バンドよりも制約が大きいと自分は考えていました。ジャクソン・ブラウンのバンドでデヴィッド・リンドレーが時々フィドルで色彩を加えるのとはわけが違います。バンドの運営面での負担やらいろいろ考えると、長持ちするとは考えられませんでした。

ましてやジェフ・リンのようなビートルズの面々も認める優れたサウンド・クリエーターが運営しているバンドですからね。アルバム3枚程度ならとか思いますが、70年代にストリングス込みの体制で8枚ものアルバムをヒットさせているのは凄いことでしょう。(79年のアルバム「Discovery」からストリングスの3人をツアー・メンバーに格下げしています)

80年代に入って、ストリングスがいなくなってからも、「Xanado」のサントラを含め、4枚のアルバムをヒットさせております。ここが実は底力なのかもしれませんけどね。併せてジェフ・リンのソロ活動も始まりますから、まあ一旦は解散して正解だったと思います。

ジェフ・リンのソロに関しては、以前一度、ホンダ・シティ・カブリオレのCM曲やレア音源について、短い文章を書いております。

実はこの辺のレコードが、ウルトラ入手困難盤なんです。何故なら、この後の彼の実績によるものでしょうが、おそらくビートルズ・マニアのターゲットになってしまったのかと思われます。意外なほどレアでしてね…。まあトラヴェリング・ウィルベリーズにもいますしね。仕方ないのでしょう。

しかも、1990年の「Armchair Theatre」や2012年の「Long Wave」といった盤はいずれも大名盤と言っていいでしょうしね。復活後2001年のELO「Zoom」とかも素晴らしい出来で、さらに加えてジョージ・ハリスンやリンゴ・スターも参加しておりますから、ビートルズ・マニアは当然、そうでなくともコレクションしたくなります。すべて中古盤市場の相場は高止まりしております。

残念ながら、いろいろゴタゴタを抱えたりして、あまり多くアルバムを作ってくれたわけではありません。Jeff Lynne's ELOという表記になったり、…まあ多忙だったと思います。無理もないと諦めもつきます。ヘッダー写真のようにくたびれた宇宙船のジャケットが物語るように、大変な道程だったのでしょう。このアルバムは、満足できなかった過去のヒット曲を録音し直した2012年のアルバム「Mr. Blue Sky - The Very Best of 〜」ですが、70年代に乱発されたコンピレーションと違って、なかなかに感慨深い一枚です。また、ジェフ・リンが目指していた音質というものを自分の耳で確かめるのは楽しい作業です。

本来ならELO単独で3時間イベント一回としてやりたいところですが、さすがに1回の予定だった「産業ロックの魅力」を2回に分けておりますから、やり過ぎですかね。魅力的なブリット・ポップの源流の一つではと言いたくなるアイドル・レースまで視野に入れると、3時間でも足りなくなりそうですけどね。

あ、ちなみにアイドル・レースは、ザ・ナイトライダーズというバンドからロイ・ウッドが抜けたときにメンバー募集をかけて応募してきたジェフ・リンを加えて、バンド名をアイドル・レースに変更してスタートしたバンドです。ロイ・ウッドとジェフ・リンの関係も語り尽くせないものがあります。

さらにちなみにですが、この当時から親交のあったキーボーダーのリチャード・タンディは、後々ELOのキーボーダーとして活躍しますが、今月1日に亡くなられております。ずっとジェフ・リンを支え続けていたキーボーダーですね。ご冥福をお祈りいたします。

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