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7インチ盤専門店雑記896「今日を生きよう」

以前、亀渕昭信氏の番組に出演させていただいた頃に、番組でおススメとしてかけたグラス・ルーツの記事を書いておりますが、子どもの頃に好きだったバンドの記憶は容易に薄れるものではありません。それどころか、脳ミソの記憶野の奥深くに留まっていて、思いもよらぬ瞬間にムックリ出てきたりします。

「60年代の音楽とビートルズに当時の世相やCMを交えて語る」講座の講師の依頼がありまして、いろいろ調べたりしております。一方で、店をたたむか、一線を退くかなどといった話をしており、重たい気分の日々を送っておりまして、しかも体調が悪いわけです。…すべての原因はここにあるんですけどね。

そんな日々、この講座の準備にかこつけて、調べ物で気を紛らわしているといったところです。また、一方で何かに集中することで前向きのスタンスを維持することに繋げようとしている側面もあります。傍目には古いレコードをほじくり出してきては聴いたりしておりますから、見ようによっては相変わらず楽しく過ごしております。

そんな中で、ふとした拍子にグラス・ルーツのデビュー曲「今日を生きよう Let's Live For Today」が出てくるんです。勝手に繰り返し脳内再生され、もう頻繁に聴いているような感覚になっております。仕方なし、保存箱から「今日を生きよう」の7インチ・シングルを出してきて針を下してみました。「あー、これこれ」とか言いながら、もの凄い違和感に塗れております。「こんなに音が良かったっけ?」となってしまいまして、昔の記憶の補正を余儀なくされております。ラジオで聴いたときの記憶がしっかり残っているのでしょうか。もっと、もっと、遥かにしょぼい鳴りのイメージでおりました。

「1 2 3 4 Sha La La La La La Live for today~ 」が延々繰り返されております。何をしていても、口ずさんでいたりするので、少しおかしくなったかと不安になっております。…そんなに好きな曲でしたかねぇ?

実はもう一曲、脳内で鳴っている曲があります。同じくグラス・ルーツの「恋は二人のハーモニー」です。

「涙の滑走路」と似たギター・リフが、今聴くと「おいおい」と言いたくもなりますが、まあ思い切り譲って、彼らの個性としときましょう。私はこの連中、嫌いではないのです。スタート時点では実態がないバンドだったものの、「今日を生きよう」が売れてしまい、急いで集められたメンバーだというのも、なんだか時代を感じさせるエピソードです。

先般60年代のイベントの準備で買い付けにいらっしゃったDJさんにいろいろお聞かせしたのですが、ドアーズやソニーとシェール、タートルズといったあたりには思い切り反応してくださいましたが、グラス・ルーツは全くウケなかった…というか無反応だったんです。時代色は濃いと思うんですけどねぇ…。今聴くと少しダサいかもと思わなくもなし、自分の場合は懐かしさの方が勝ってますけど、他のDJさんがかけない曲をお探しならいいと思うんですけどねぇ…。

そんなわけで、講座やイベントでかける予定があるわけではありませんが、最近よく聴いているグラス・ルーツでした。

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