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7インチ盤専門店雑記890「60年代を語るには…」
7インチ盤専門店をやっているから言うわけではないのですが、60年代の音楽を語るのはLPよりも7インチ・シングルの方が適していると思うわけす。ビートルズの「サージェント・ペッパーズ〜」のようなコンセプト・アルバムが出てきて、70年代はアルバムで聴く時代になって行くわけで、それまでは売り方自体がシングル中心だったわけですよねぇ…。
先日、カフェの営業時間中にポッカリ時間ができたので、7インチ盤のボックスを眺め、60sの世相を語るという視点で何枚か選ぶとしたら…と考えてみました。その時に引っ張り出してきたのがヘッダー写真の5枚です。ロネッツの「ビー・マイ・ベイビー」は黒人ヴォーカル・グループの紹介をするときにシュープリームスにするか…ロネッツもいいなといったところです。
ベンチャーズはやはりギター・インストで一枚といったとき、「キャラヴァン/十番街の殺人」といったあたりで行くか…といったところです。ギター・インストのブームでは、以前は定番ディック・デイルやライヴィリー・ワンズ、クリー・シェイズあたりが好きなので、ヴェンチャーズは滅多に採用しなかったのですが、単発講座で60sを語るとなると、象徴的なものに限られてしまいます。自分の好みは15秒程度のちょい聴きにならざるを得ませんからね。
マッコイズ「ハング・オン・スルーピー」は、貧しい家庭云々という歌詞が今では考えられないものかもということで、戦後復興と高度経済成長期の話題の中でちょいと聴きたいななどと考えて取り上げました。象徴的か否かは個人の好みとのせめぎ合いでもありまして、ここらはいくらでも素材ありますからね…、ボビー・ジェントリーとかもそうですかね。
一方で戦後復興の話題では、紙質に関して気になる盤がありまして、トーケンズの「ライオンはねている」です。これは自分が洋楽を聴き始めてからもラジオでかかっていたこともあって、好きな曲なのですが、恐ろしくチープな紙質と粗い印刷、…ほぼガリ版レベルでして、それでも比較的良好な状態で現存している盤なので、ことある毎に紹介しているものです。ナット・キング・コールの50年代の盤も同様ですが、自分が生まれた1960年頃のリアルが手に取って見れるようで、この盤は大事にしている一枚なんです。
ミーナ「砂に消えた涙」は、イタリア人が日本語で歌った曲ですが、和製ポップスの流行を語る中で、外国人が下手な日本語で歌う曲がいくつかヒットしておりまして、その代表的なものとして紹介するかといったものです。
限られた時間の中で60年代の世相を語る素材として、まずは入門コースを想定したセレクションというわけですが、実際はビートルズやローリング・ストーンズに時間を割くことになるわけで、ホンの数分で何を紹介するかという部分の素材です。ただし講師としては、普段から聴く機会が多いものよりも、こういった部分が楽しかったりするわけです。