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7インチ盤専門店雑記861「Sammy Hagarの赤」
何気によく話題に上っているサミー・ヘイガーです。先般の来日公演の評判も上々でしたが、何だか世間的には「サミーねぇ…」とシニカルに避けられてしまうことも多く、評価が二分するように思います。たまにモントローズのヴォーカルだったという程度の話は出ますが、やはりヴァン・ヘイレン絡みで語られることが多く、そうなると「デイヴ・リー・ロスとどちらが好きか?」とかいったヴァイアスがかかった語られ方になるようです。
個人的には、モントローズが大好きだったので、嫌いではありません。好きなアーティストの部類です。楽曲として「Eagles Fly」と「Give To Live」は大好きです。それでも、うるさ過ぎるのでしょっちゅう聴くというものでもありません。よほど元気な時にむしゃくしゃしたら聴くかもという程度ですが、アルバムは何枚かあります。
ヴァン・ヘイレン加入前のソロ・アルバムは真っ赤でして、何だかなぁなファッションですが、まあイメージ作りとして見事なまでのアイデンティティは確立しているということでしょう。実は意外にポップな曲もありますが、名前を聴いた瞬間にウルサイと思うのですから、HR/HMが市民権を得た80年代にはアリだったと思います。
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1980年のアルバム「バイオレンスの逆襲 Danger Zone」がもう少し売れればその後の動向も違ったのかもしれませんが、この盤、ビルボードのアルバム・チャートで85位どまりで失敗作的に語られます。それでも、ゲストにジャーニーのニール・ショーンとスティーヴ・ペリーが参加しておりますし、ボストンのトム・ショルツもお手伝いしてくれておりまして、そのあたりのロックがお好きな方には面白いアルバムです。ヘイガー・ショーン・アーロンソン・シュリーヴに繋がる人脈が見えて面白いですね…。
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1982年の「スリー・ロック・ボックス」にはジャーニーのジョナサン・ケインやラヴァーボーイのマイク・レノも参加しておりますし、リチャード・ペイジやトム・ケリーの名前もクレジットされておりますから、クレジット・オタクにはやはり面白い盤です。シングル「ドライビン・ミー・クレイジー Your Love Is Driving Me Crazy」はビルボードで17位まで行ったヒット曲です。まあ、いかにもな曲調にニヤニヤが止まりません。
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1982年リリースの「Live 1980」がねぇ、せっかくヒット曲が出たのに入ってないんですよねぇ、これが。モントローズ時代の「Space Station #5」とかやってくれているのは嬉しいんですけどね。
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ヴァン・ヘイレン加入後の1986年にリリースされたベスト盤にも収録されていないのは、どうにも納得いかないんですけどね。でも、この辺の盤を聴き流していると、聴き易い曲も多いので、もう少し売れてもよかったのではと思うわけです。アメリカではそれなりに評価はされているようなんですけどね。
結局ヴァン・ヘイレン加入が裏目に出た側面もあるかもということが言いたいわけですが、最近のインタビューでもギクシャクした人間関係が窺われる内容が含まれていましたし、バンド活動とか続けていくのも、いろいろ難しいんですねぇ…。まあ、曲の良し悪しは別として、のびのびやっていた真っ赤なサミー・ヘイガーの絶叫がいいなと思う次第です。