7インチ盤専門店雑記348「宝の持ち腐れか…」
自宅にある在庫ボックスを覗いてみたら、結局余剰在庫としてイベントなどで提供している盤と同じようなものばかりで、ちょいと呆れております。結局のところ、自分が本当に好きなあたりなのかなとも思うわけです。LPやCDで聴くときと違いますから、TPOにもよりますが、曲単位で考える場合はこの辺なのかなという意味です。もちろん自分が大好きでも簡単に手に入らないものもいっぱいありますから、だいたいのところです。
ここで一つ気がついたのですが、70sと80sが結構バランスよくストックされているんです。そして大前提ですが、ここにあるのは、ニアミント・レベルの盤です。7インチ盤界隈にお詳しい方はお分かりだと思いますが、80sは今でもニアミントが結構出回っているので、特別珍しいことでもないのですが、70sは状態のいいものが減ってきたと申しましょうか、ウェブで見ている限り、ほとんどありません。
仕入れた時に一応クリーニングをしてマトリクス・ナンバーもチェックしますから、70sのマトが若くでニアミントなどというものは、お宝ボックス行きです。つまり、盤の状態は良いがマトは若くないか書かれていないかといったあたりが集めてあるんですね。…面白いですね。他人事のように言いますが、コロナで身動きが取れない状況下、時間を無駄にしたくないと思い、猛烈にいろいろな作業をやっていた頃の自分がしまい込んだものなので、もう存在そのものも忘れていたようなものもあったりします。箱を開けで盤を見始めた瞬間「へぇ~」と声が漏れている程度です。
先般オーディオ・イベント的な「7インチ盤で聴く優良録音」を開催して思ったのですが、お客様にウケるのは圧倒的に80sの方なんですよね。確かにカフェで開催される音楽イベントに足を運んでくださる方は、それほどご高齢というわけではありません。私より若い方が多いわけです。余剰在庫も80sの方が人気なんですね。私のように、70sがドンピシャでティーンだったような人間にとっては70sの方が思い入れはあると思いますが、しかももうあまり見かけなくなっている状態がいいものがいっぱいあるというのは、…宝の持ち腐れとは思いたくないですね。何とか上手く活用したり、捌いたりしないといけませんね。自分自身が文化遺産だと言って情報発信している傍らで持ち腐れはいかんでしょう。
先般、ラジオ番組の最終回を一緒に聴く会の日、OAの時間になるまで、お客様が持ち込んでいらしたレコードを聴いていたのですが、その中にモービル・フィデリティの「呪われた夜」ボックスがありまして、45回転で鳴らしたのですが、やはり低音の入り方が凄くて驚かされました。ただ同時に思ったのは「好みの問題でもあるな」ということで、「自分は低音はそこまで入っていなくても、メリハリがあって元気な鳴りの7インチ盤の音が好きだなぁ」と思ったわけです。まあそれでも高音質盤をおろしたてのカートリッジで聴く機会は滅多にないわけで、貴重な経験だなぁとも思いました。音楽の楽しみ方はいろいろ、素材も機材も大事にしないといけませんね。