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7インチ盤専門店雑記902「Pacifica」
少しずつですが、レコードやCDの処分を始めました。おかげで身辺整理が捗っている気になるのか、気分は上々です。スッキリという言葉にはほど遠いのですが、何がいいかというと、「ああ、これ好きだったな」という曲を思い出せたり、「こんなの持ってたっけ?」という盤に気づいたり、我が家の中で再発見の連続なんです。店を始めてからのこの10年は、やはり少し時間が足りなかったようです。
10年前と現在とで同じ感覚なわけはなく、それなりに移ろうわけで、エリック・クラプトンなどは聴かなくなったということは先般も書きましたが、他にもいろいろあるようです。結局この10年という時間は、音楽漬けであったことは確かなのですが、お客様にオススメするという行為を繰り返していたわけで、結局のところ、自分が何を好きなのか繰り返し考えていたようなものなのかも知れません。その最たるものは、中央エフエムでラジオ番組を持っていたということで表出するわけで、あるお題に関して10曲程度選び出すということで結構真剣に考えておりましたからねぇ…。自分の好みがやはりかなりポップだと思い知らされました。
さて、一昨日はジンジャーのトーク・イベント開催日だったのですが、前回の時点では最終回になるかと思っていたところ、諸般の事情から次回もあることになってしまいました。そうなるとテーマももう深いものなどはできないので、今現在でおススメなものを紹介する手のものになってしまいます。半分を自分がおススメするものにして、残る半分を参加者の皆さんからおススメいただいたのですが、皆さん語る、語る…。公開中の映画「ヒプノシス-レコードジャケットの美学-」を観てきた方も何人かいらっしゃいまして、こちらも迎撃態勢は整えておりました。ヒプノシスのジャケットの作品集を回覧したりしながらの楽しい時間となりました。
自分はまず、これからリリースになるなじみのアーティストの新曲を中心に行きました。ドゥ―ビー・ブラザーズ、ジェスロ・タル、エルトン・ジョン&ブランディ・カーライル、マムフォード&ザ・サンズあたりです。ラーキン・ポーは発売済みですが、予約していた方もまだ届かないという声が複数あるなど、相変わらずアナログ盤プレスを取り巻く環境は厳しいようだということもお伝えしたりしました。
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今回のおススメの中では、アルゼンチンの2人組Pacificaあたりが、意外がられながらも皆さんから「いいね」を頂戴しましたかね。…やっぱり、私の好みは結構ポップなんですよ。↓ このヴィデオ、ドラマーとのアンバランスな2人の見た目のインパクトが好みで、少し前からいいなと思っていたのですが、店のスピーカーから大音量で流すと意外なほどいい音で、なかなかの迫力もあり、意外なほど目が釘付けになります。
こういう新しいアーティストの映像をYouTubeなどで観ているのはそれはそれで楽しいもので、レコードやCDなどの盤がなければというところに拘ることを戒めてもくれます。洋楽を聴き始めた頃、AMラジオから流れてくる音源を聴きながら、好きな曲がどんどん増えていった頃を思い出しつつ、贅沢な話かもと自戒の念も湧いてくるものなのです。