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2025年2月3日 読書会「谷川俊太郎とか詩とか」(3)

(谷川俊太郎がテーマの読書会2 からのつづき)
参加者:
図書館司書Aさん、朗読を習っていたSさん、谷川俊太郎未経験のRさん、好きな詩は「朝のリレー」のHさん。

谷川俊太郎以外の詩について語り合います。

<<本で出会う・本屋で出会う>>
A 詩の本をいくつか持ってきました。『やさしいけしき』『草にすわる』、このふたつは、いろんな人の詩が入ってて、今まで触れたことのない詩にも触れられる。「草にすわる」は八木重吉さんの詩のタイトルから取られていて、大好きな詩なので思わず手に取りました。
S 吉原幸子さんが出てる! 吉原さんの本をジンジャーブックスさんで初めて見て、ちょっと立ち読みしたらぐっとくるものがあって、買いました。
A それから、『小さな詩の本』。これもいろんな人の詩、海外の人の詩も載っていて、すごく面白い。
斎藤倫さんの『ぼくがゆびをぱちんとならして、きみがおとなになるまえの詩集』っていう児童書があるんですが、それは、男の子が親戚のおじさんのところに行って今日あったことを話すと、「この詩を読んでごらん」っておじさんが読ませるんです。男の子が「何これ意味わかんない」とかいうと、「わかんなくていいんだよ」。わかんないって感じたことで十分なんだって。子どもさんに詩を親しむ前に読んでもらうのもいいかなと思います。同じ作者の『ポエトリー・ドッグス』は、犬がバーをやってて、お客さんに詩をすすめてくれる。どちらも、実際にある詩を紹介してくれる。この本の一番最初に、村上きわみさんという方の短歌がぽんと載ってるんです。

次に来る波をむかえにゆきなさい 尾を高くしてわたしのけもの 村上きわみ 

S 「わたしのけもの」って! ぞくぞくしますね。
A でしょう⁉️ この本のとびらにこれだけ書いてあって、特に説明がないんです。
S 興味をひきますね。
A この短歌が、このときの自分の状況にピタッとはまって、ほんとにぞくぞくしちゃって。たまたま開いて目にしたものって、自分にフィットしないときはすっと流しちゃうけど、こうやって出会っていくんだな、っていうのを体感しました。
S クレマチスの丘の本屋さんで須賀敦子さん(イタリア文学者・翻訳家・随筆家)の本に出会ったんですけど、文章がすごく好きで。自分がイタリアの街を歩いてるのかって思うくらい。そしたら須賀敦子さんの詩集が出ていて、それも良くて。この前ジンジャーさんにもありましたね。
―あの詩集はおすすめです。
A 誰かを調べてる中で、その方が須賀さんが好きって書いていて。そうやって繋がってくのも面白いですよね。この人とこの人が繋がってる、とか、この素敵な人が好きっていってる人はどんな人? って。
 
<<詩の効能 ― 注射より効く即効性>>
A 詩は本当にいいと思う。余計なものをそぎ落として、中心の、核の部分だけがぼんって表れている。
R 私、小説はもともと読むんですけど詩をあんまり読んだことがなかったんです。今日は谷川俊太郎さんの魅力と、詩の魅力も、教えてもらいました。詩って、凝縮された言葉の選び方をされてるから…。
S 一瞬の衝撃。秒ですよね。1分もない。瞬間的に自分の中で何かができあがるっていうか。そこがすごく好き。
A 本当飛びこんでくる感じですよね。それを体感するのが面白い。
S それによってさっきまで死にそうになってた自分が生き返るみたいな。注射より効きます。
H 詩って余白があるから、あせらされることがない。自分のペースでいつまでも浸ってもいいし、今すぐやめてもいい。ひらがなだったりしたら感じ方も自分の自由にできる感じ。そこが好きですね。
R 朗読も初めて聞いたんですけど、すごーい素敵でした! 入ってきかたが全然違いました。
A 物語もいいんですけど、詩は想像する余地がある。前は、わからないと嫌な感じがしたんだけど、今は「どういう経験すればこういう詩をかけるんだろう」って思ったりして、それも楽しめる。歌の歌詞でも、こういう感情抱いたことがないからわからない、っていうものに出会ったりすると不思議でわくわくします。
(次回、まとめに続く)
 
*登場する本
『やさしいけしき』『草にすわる』理論社
『吉原幸子 愛について』平凡社
『小さな詩の本』リベラル社
『ぼくがゆびをぱちんとならして、きみがおとなになるまえの詩集』斎藤倫 福音館書店
『ポエトリー・ドッグス』斎藤倫 講談社
『主よ 一羽の鳩のために』須賀敦子 河出書房新社

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