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新緑のころ 京都~六波羅蜜寺・河井寛次郎記念館




六波羅蜜寺

正午少し前、京都駅着。
ホテルへ荷物を置き、タクシーで向かったのは六波羅蜜寺。

通りに面した寺院は古刹という風情ではなく、丹の色鮮やかな絢爛な佇まい

六波羅蜜寺は、天暦5年(951年)醍醐天皇第二皇子光勝空也上人により開創された西国第十七番札所であり、平安・鎌倉期を代表する木像彫刻である空也上人立像(運慶四男湛慶作)、平清盛坐像、運慶・湛慶坐像などの名宝が安置されていることからも、参拝者の香煙が絶えない名刹。

夫は平清盛坐像がここに安置されていることを知り、期せずして拝観でき、そのリアルさに強く感動し、私は、市の聖(いちのひじり)と呼ばれ愛された空也上人の、歓喜踊躍しつつ念仏を唱えながら市中を歩く姿を捉えた空也上人立像に、ただただ圧倒されていた。


河井寛次郎記念館

次に徒歩で向かったのは、河井寛次郎記念館。
細い路地に面した京都の町に静かに佇んでいる。

大看板は棟方志功の筆 力強さの中にも品格のある字

「暮しが仕事 仕事が暮し」という言葉を残した河井寛次郎の世界

彼の世界に深く心地よく浸れる記念館は、いつまででも風や光を感じながら過ごせる場所だ。

自在鉤、木彫像などの作品が、主張しすぎることなく自然体でそこに在ることが素晴らしい

朝鮮張に擬した床、炉、寛治郎がデザインした様々な椅子・・・。


書斎の机と椅子

ここに座って快適な時を実感することもできる

すべてが美しい佇まい


花あしらいのまた素晴らしいことといったら・・・

中庭へ出る

丸石は、郷里の知人たちより寄贈の申し出があった燈籠を、丸石にしてもらったものだそうだ。



釉掛けや絵付けを主にした中庭には、釉壺と猫石像。


猫の額にお賽銭 こういうところに人々のさり気ない祈りのような心を感じる

登り窯を見た。



使われなくなった登り窯の静謐な風情。


休憩室にも、惹きつけられる椅子や作品。


再び炉のある居間へと戻る

座ってみたかったこの椅子に腰掛けてみた。


李朝膳



寛治郎デザインの臼から作られた円形椅子にも座ってみる。


それぞれが気に入った椅子に座り、爽やかなひと時を過ごす。

何時間でもこの空間に居たい。
そう思った。


路地を歩いて柳馬場通りへ

路地を歩きながらお茶でもしようと暖簾をくぐると満席。


ではと路地を歩き、耳塚、豊臣家滅亡の契機となった方広寺の鐘、豊国神社を見て、鴨川に出て、高瀬川沿いに歩く。

高瀬川沿いの路地をゆっくりと歩く

ゆっくりゆっくり京都の風情を愉しみながら歩く

すごい人の流れだと思ったら四条河原町の近く。
錦市場を少し通り、再び静かな柳馬場通りへと向かう。


予約していたお店で美酒と美味なる料理を味わい、ホテルへと歩いて帰る。快適なホテルでお湯につかる。

空也上人の壮絶なる生き様。

31歳にして「陶界に突如彗星が出現した」と絶賛され、日本民芸運動の中心となって人と人生をこよなく愛し大切にした河井寛治郎、彼のどこまでも美しい生き方と暮らし方。
開館して間もないころ訪れた大学生のころのおぼろなる記憶も手繰り寄せながら、眠りについた。

2018/04/30 
 


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