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「共有より同期」を。グラムが考えるスタートアップにおける理想の組織のあり方

はじめまして!グラムで取締役をしています後川です。

グラムには、「共有より同期」というカルチャーがあります。

仕事をする上で、「共有」の重要性を感じている人・組織は多いでしょう。しかし「同期」は、他社にはあまりない概念かもしれません。

今回は、「共有より同期」という言葉の意図をわかりやすく解説するために、セルフインタビューを実施しました。

同期とは、複数の人が同じ情報を同時に持つこと

--まず、この「共有より同期」というカルチャーは、いつ頃生まれたものなんですか?

後川 明確に言語化し始めたのは、2018年になってからですね。

正式には「共有より同期を…」です。本当は「語るなら未来を…、共有より同期を…」にしたかったんですが、語呂が悪くて諦めました。

--はい?

後川 知らないですか? 欅坂46の名曲です。好きなんですよ欅。あ、でも漢字よりひらがなが好きです!

--話を戻しますね!
「共有より同期」とは、 具体的にどのような意味なのでしょうか?

後川 まず前提の整理をしますね。多くの組織は「共有」ってすごく大事にすると思うんです。よく社会人として最初の方に教えられる「報・連・相」とかも、まとめると「共有」だと思いますし。

グラムにおける「共有」の定義としては、

『情報に流動性とアクセシビリティをもたせること』

です。

ーーつまり、その情報を他者がいつでも見れるように、わかりやすい形で置いておくことが「共有」だと。

後川 そうですね。それに対して「同期」は、

『複数の人の間で同時に同じ情報を持つこと』

と定義しています。

ーーわかりやすくまとめると?

後川 『情報に流動性とアクセシビリティをもたせること』よりも『複数の人と同時に同じ情報を持つこと』を大事にしていこうぜ!!

ーー雑すぎて全然わからない(笑)

「共有」するために時間を使うのは、きっと本質的ではない

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↑グラム取締役の後川(2歳♀)

ーー「共有」と「同期」の違いがまだ少しわかりにくい気がするので、もう少し掘り下げいきたいのですが、「共有するだけではいけない」と考えるポイントはどこにあるんでしょう?

後川 「共有をしよう」って、簡単そうに聞こえますけど、それはとても手間がかかることだとなと思っていまして。

ーー具体的にどのあたりが「手間」なのでしょう?

【共有における課題】by グラム

・発信者が情報を共有できる状態に加工する手間がかかる

・受け手が必要な情報を吟味する手間がかかる

ーーあー、たしかに。
Aさんに報告するために「今Bさんとこういう施策進めててこんな目的があって〜その数字がこのシートにあって〜」みたくまとめてからアウトプットするのって結構手間ですね。

後川 そうなんですよね。社内で情報共有がされている状況を作りたくて「みんな共有しっかりね〜」って指示しても、そこに時間を避けなかったり、優先度を下げてしまってなかなか達成されないんです。

そこで僕らは、「共有する」をすっ飛ばして「同期」を目指すスタンスに変えたんです。共有における手間を仕組みによって極限まで削減し同期状態を作り出せば、

・社内で流通する情報量の最大化
・メンバーが本来やるべきことに使える時間の創出

が達成されて、生産性が向上するはず! という仮説をもとに色々やっています。

「共有より同期」を実現するために、グラムが実践していること

ーー社内に情報を「同期」させるために、具体的にはどんなことをしていますか?

後川 細かいことを色々やっているんですが、説明しやすいものだと、

・SlackChannelのオープン化
・出退勤の見える化
・広告運用レポートの自動生成 / 公開

などなど、その他本当に細かいこと色々っていう感じですね。

1.SlackChannelのオープン化

ーーまず初めに、『SlackChannelのオープン化』について、具体的に聞いていきたいのですが。

後川 これは割とどこもやっているとは思いますが、グラムでは意図的にSlackのオープンChannel上で議論したりしています。これの一番の狙いは「経営・事業責任者による意思決定過程の可視化」です。

リアル会議室でのMTGは、後で議事録を共有する形が多いと思います。参加していない人に対しては過程が見えにくく、結論だけが共有されがちです。でもそれでは情報量として不十分だと感じます。

Slack上で議論していれば、やり取りの最後に結論を3行でまとめて@channel でメンバーにメンションしておけば意思決定までの過程を公開しつつ、最低限押さえておいてほしい部分も伝わります。そして、毎回議事録を書くコストが大幅に削減できます。

もちろんリアルでの会議もあるため、議事録が0になることはないですが。大幅削減はできています。

ーーたしかにMTGとは全く関係なく、Slackで激論が交わされていることは多々ありますね。

後川 その実例として、弊社Slackの様子をお見せしますね。

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ーーお見せする実例の偏りが強すぎて、伝わりにくい(笑)。

後川 このように、業界の最新情報にもとづく熱い議論が展開されることも多いのです。

あとはChannel上で発言しやすい空気感をつくるようにはしています。DMで根回ししながらChannelで発言するみたいなことは無駄なので。基本DMは禁止です。

まとめると、意思決定の方向性を可視化するのは大事だよね、ということですね。

2.出退勤の見える化

ーーでは次に、『出退勤の見える化』について。

後川 グラムでは、Slack上で出退勤が押せるようになっています。これ自体は珍しいことではないと思いますが、「出退勤UIとしてのSlack」ではなく、「稼働状況の可視化」が最大の目的です。

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↑グラムのSlack内の勤怠管理Channel。システムは色々試したがジョブカンに落ち着いた

後川 これにより、「◯◯さんもうオフィス来てる?」「まだですー!12:00出勤予定です」というやり取りを削減しています。「出勤したらその旨をSlackでつぶやく」といったルールを運用している企業もあるようですが、これだと、

①勤怠ツールで出勤ボタン押す
②出勤報告Channelでつぶやく

という2手が必要になります。一方グラムでは、

①出勤報告Channelでつぶやく(と同時に出勤ボタンが押される)

これだと1手で済みます。たかが1手と思うかもしれませんが、されど1手です。

「出勤してたなら言ってよ!」「あーごめんなさい、つぶやくの忘れてました……」なんてやり取りがあるだけで、ちょっと気分も下がりますしね。

ーーなるほど。Slackでつぶやくだけで、ノータイム共有が無意識にできてますね。まさに「同期」っぽい。  

3.広告運用レポートの自動作成 / 公開

最後に、『広告運用レポートの自動作成 / 公開』について。

後川 グラムでは、自社プロダクトの広告出稿とあわせて運用代理店ぽいことをしているチームもあります。よって、FB広告をそれなりの金額で運用しています。

「今月の予算消化状況ってどうだっけ?」「昨日までで45%です!」「いや、現時点での数字がほしい」「あーちょっと管理画面を確認しますね!」

こういうやり取りが無駄です。
広告レポート(に関わらずそれっぽいものも含め)など、1日に何回も確認するかつ担当者に聞かないと答えにたどり着かないようなものは、なるべく自動レポートにしています。

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↑1時間に1回、当日の広告運用状況をお知らせしてくれるbot。(世界観が独特なのはメンバーの趣味なので気にしないでください)

後川 グラムでは、1時間に1回、FB広告の運用状況をbotが教えてくれます。よって、管理画面の数値が必要になったらbotのいるchannelを見るだけでOKです。

「クライアントに報告するから広告運用状況教えて!」「うちの会社本当に儲かってるのか不安だから広告売上見せて!」という突然のメッセにも、

「bot見てください!!!」で対応完了です。

デイリーでの集計や自動グラフ生成もbotがやってくれるので楽です。FB広告以外にもAPIがあるものは対応していますし、複数プラットフォーム間の数値も合算してKPIに合わせた形で加工し自動レポートでSlackに流しています。
複数の管理画面にログインしてレポートをDLして数値を合算し計算……みたいなことはほぼ人間がやらなくてよくなっています。

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↑グラムで稼働するデイリーの運用状況お知らせbot。グラフも生成してくれるのでわかりやすい(ただし世界観は独特)。

ーーたしかに、広告運用担当者でなくともChannelを見れば数値の確認がすぐできるようになっていますね。実際は結構な数のbotが動いていそう。

後川 たくさん動いてますね。メディア事業だと、毎朝前日の検索UU数とUU数上位記事ランキング、検索KWの順位変動を教えてくれるbotなど。メインの事業でも、さまざまななbotや仕組みが動いています。

社内では、情報共有を同期まで昇華する仕組みを考え作り出した人は評価されます。ちなみに今回紹介したbotは全てインターン生がつくってくれました。

メンバーに経営者目線は必要ない

ーーここまで、「同期」の事例紹介をしてもらいましたが、改めて「共有より同期」はどういうことなのでしょうか。

後川 ここまで、工数削減のためのわりとテクニカルな事例を紹介してきましたが、それは本質ではないです。余計なことに脳のリソースを食わないようにすることはあくまで手段で、本質は、

・メンバーが経営陣と同じ情報量 / 質を持つ
・経営陣がメンバーが直面している課題について同じ情報量 / 質を持つ

です。
同じビジョン・ミッションに向かって、同じ情報量 / 質を持っていれば、自然とメンバーも経営陣も同方向の意思決定ができると考えています。

ーーよく聞く、「経営者目線」みたいなものですか?

後川 いや、よく「経営者目線で考えろ」という言葉は聞くのですが、個人的にはイマイチな言葉だと思います。というよりグラムで実現したいのは、

「全社の情報を同期し、それを活用しメンバー各々が自身のポジションにおいてビジョン・ミッション達成のために何をすべきか考え、動くことができる」

という状態です。

ーーでも、社内にある全情報を全メンバーが頭に入れて理解するのは、なかなか厳しいのでは?

後川 当然、すべての社内情報をかき集めそのまま受け止めると、脳の処理容量をオーバーしますよね。なので、

・情報の必要性と網羅性は前述の仕組みによって取捨選択・整理加工する
・仕組みによる工数削減により本当に必要なことに使える時間も創出する

これを目指し、会社のテーマとして運用・実現しようとしています。

ーーなるほど。
メンバー全員が「経営者目線」で考えなければいけないというのとは大きくスタンスが違いますね。

後川 「経営者目線で考えろ」というのは、経営者がそういった仕組み化をせずに、経営者だから持つ情報の優位性のもと発言しているように聞こえる。だから少し違和感があるのかなと。

情報を取れる状態をつくるだけでなく、情報が適切なサイズで流れ込んでくるような仕組みをつくり続けたいなと。

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↑ちょっと真面目な話が続いたので、一旦ここで猫休憩

「共有より同期」を掲げている意図とは

ーー「共有より同期」がわかってきたところで、最後に総括を。今度こそきれいにまとめてください!

後川 グラムでは、「共有より同期」をカルチャーとすることで

・メンバー全員の意思決定の方向性担保
・意思決定の速度
・意思決定後の1歩の速さ

これらを磨き上げ、1人あたりの生産性を向上し市場競争に勝つということを意図しています。

メンバーが数百人規模まで増えたときに、このやり方がそのまま通用するかはわかりませんが、現在は20人程度。しばらくは「共有より同期」を徹底しブレなく生産性が高い組織をであることで、競争を勝ち抜く原動力になると考えています。

もちろん、まだまだカルチャーとしての浸透は完璧ではないのですが、「自分ならならこんな仕組みを実装する!」というアイディアがたくさん出てくる人と仕事をしたいですね。

ーーちゃんとまとまった!(笑)


今回のnoteを振り返ると、「グラムの人はめっちゃ理屈っぽそう」「普段から処理しなきゃいけない情報が多いのは疲れそう」という感想を持つ人もいるかもしれません。

しかし、「そんな環境でズバズバ意思決定して前に進みたい」と感じた人もきっといるはず。

そんな方はぜひ一度、弊社に遊びに来てください。いつでもお待ちしております。


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