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厄介ごとは打ち寄せる波の如し

前回より

人生の歯車は いつどう狂うのか

歯車は一度狂い出すと中々止まってくれない。
何気ない選択が人生の歯車を狂わせる、、、又はその渦に引き寄せられていく。
全く気付かないうちに引き寄せられ巻き込まれ狂い出す人生の歯車。

僕の体験から

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A氏からの唐突な提案は会社にとって重要な事案でしたので、いち早く社長に
伝える必要がありました。

“社長の了解を早くとって欲しい、正式な取引契約を早く取り付けたい、、、”

A氏から呉々もと念をおされていた事もあり、僕は話が円滑に進むよう色々と
頭を巡らせていたのです。

でもこの時、社長は大きな心配事を抱えていました。
元不倫相手だったK氏の旧友 M氏から執拗な復縁を迫られていたのです。

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心の悪い虫、、、


A氏の話からすぐの事。
僕は仕事終わりを見計らい社長を食事に誘い出しました。
話の内容をパートさん達に聞かれない方がいいと思ったからです。

その時のお店も憶えています。
手打ち蕎麦を売りにした半個室の居酒屋です。

どんな話出しだったかは憶えていませんが、僕はまずA氏からの申出をそのまま社長に伝えました。
そして僕なりの考えを交え “A氏の申出、提案を受け入れよう” そう促したのです。

何れにせよ、リニューアルをどう進めていくのかは最優先の課題。
ですが円滑に事を進めていくためには、A氏との関係性やK氏へのロイヤリティーの問題も複雑に絡むためより慎重さを要したのです。
でも時間をかけるわけにもいかない、、、
煮え切らない社長の尻を叩いてでも急がなければならなかったのです。

その時の僕がどんな心持ちだったのか、、、
"会社を変えてしまおう、とか、今変えるしかない、とか、、、”
上手く表現する言葉が思い浮かばないのですが、自分の思い通りに進めよう
という“心の悪い虫”が騒いでいだんだと思います。

でも、それこそ“唐突”に社長は僕に言ったのです。

“実はね、、、”
その時、社長の抱えていた大きな心配事を僕は初めて知りました。

社長は淡々と話し始めました。

〜今更、お恥ずかしい話なんだけど、、、
話の切り出しはこんな風だったと思います。

数ヶ月前からM氏に復縁を迫られている。
毎日毎日、夜遅くまで携帯に電話がかかってくる。
最近では自宅マンションにまでやってくる。
会って話をしろ、じゃなきゃ会社に行くと脅されている。
手切金を寄越せ、、、
他にも電話の内容を具体的に聞かされたと思いますが、きっとその時の僕は
単なる男女間の痴話喧嘩、、、好きだ嫌いだのの引っ張り合い、、、。
そんな程度にしか聞いていなかったと思います。
それに安易な返事で濁していたと思います。

社長は話しずらそうに続けました。

以前、M氏には暴力を振るわれていた。
ある時は髪を掴まれ引き摺られた事もあった。
短気で思い通りに行かないと直ぐに手を上げる。
豹変的で暴力的な人だったetc、、、。

それに薄々気づいたもう一人の元社員のT氏に相談する様になり、そのうちに
T氏とも不倫関係になったと、、、(ありがちな話です)

問題のM氏とのなり初めについてもT氏の場合と全く同じ。
K氏のあまりの横暴さや言葉の暴力に耐えられず、K氏の旧友でもあったM氏に相談するようになったことから関係が始まったと、、、。
社長は彼らとの複雑且つ赤裸々な関係をつらつらと僕に語ったのです。

当時の夫であったK氏、K氏の旧友で社員でもあったM氏、そしてもう一人の社員
だったT氏、、、この3人と同時に関係を持っていた。
どうする事もできず、ただ流されるように関係を持ち続けていたというのです。

“しょうが無いのよ、、、私はこんな女だから、、、”
悪びれず、むしろ開き直った社長の笑みを思い出します。

M氏の対処については、弁護士とか警察とか、、、確かその程度の在り来りなアドバイスはしたと思いますが、それ以上の事を僕は何もしませんでした。
どうする事も出来なかったし、きっとする気もなかったのだと思います。
その時の僕にとっては何より会社運営を速やかに進める事の方が先決でずっと大事だったからです。

結局その日は本題であったA氏の新会社との取引契約についてはなんら進展しなかったわけです。

その後暫く、僕は板挟みになって大変だったのを憶えています。
A氏はまだかまだかと僕をせっついていましたし、一方の社長は自分の心配事で頭が一杯、、、それどころではなかったのです。
そんな事情をA氏に話すわけにもいかず、僕はどうする事も出来なかったのです。

そうこうしているうちに事件が起きました。

M氏が本当に会社に乗り込んできたのです。

“幸い”僕は会社にいなかったのですが警察沙汰になりました。
M氏が声を荒げた為、パートさんが起点を利かせ110番をしたのです。

結末は痴話喧嘩で落着、M氏は早々に退散する事となりその場はおさまったのでした。こうして警察が入ったことで全部が済んだはずだったのですが実際にはそうでもなかったのです。
むしろM氏からの嫌がらせ電話はエスカレートしていたのでした。

それで、ある日の帰り際のことでした。
“悪いんだけど家まで送って欲しいの、、、”
そんな風に僕は社長に声をかけられました。

心の弱さが歯車を狂わせる、、、


続く



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