半年分の日報をまとめてみた話
この記事はdesigning plus nine アドベントカレンダー11日目の記事です。
こんにちは
こんにちは、寒いですね。
自分は実は、今年度1年間、大学を休学してYondemyという創業2年目スタートアップでデザイナー兼エンジニアをしています。
そのことで何か書こうと思っていたんですが、すでに別で書いてしまってネタがないので、ずっと続けていたある習慣について書こうと思います。
スタートアップは人・モノ・金が少なく、常にリソース不足で、また事業の不確実性が高くカオスです。
デザイナーといってもデザインだけやるのではなく
上流工程←→下流工程
プレイヤー←→マネージャー
デザイナー←→エンジニア
の間を行ったり来たりせざるを得ません。
また、毎日違うことをします。今日はアプリのUIを作っていると思っていたら、次の日はノベルティを作って、その次の日はユーザーインタビューをして……みたいな感じです。
ここで大事になってくるのが、時間配分です。
プロジェクトを前に進めるには、ちゃんと自分で時間配分を計画して、その通りに進行する必要があります。(入試で大問ごとに時間配分考えながら解くのと同じです。)
計画はしんどい
計画を立てて、その通りに進めるというのは難しいです。(計画が好きな人も中にはいるので人に依りますが。)
何かトラブルが起こる可能性のもありますし、今日はなんとなくやる気が出ない……というのも、どうしようもないことです。
これに対して「強い意志を持って計画するしかない」というのは解決策になりません。強い意志があるなら困ってないですよって話です。
日報
計画が難しい人は、どうしたら良いのでしょうか?
そんな時は、簡単にできることから始めてみるのが良いです。
計画するのではなく、まずは自分の状況を知るところからです。
例えば、自分の時間の使い方を可視化して、自分がどういう時間の使い方をする傾向があるかを観察するところから始めてみるのはいかがでしょうか。
毎日記録し、それを振り返ってみることで、次自分が行動する時に、
「ああ、この業務に自分は時間を使い過ぎるっぽいから、ちょっと時間区切ってやるか……」
とか、何でも良いんですが、無理のない範囲で手を打つことができそうです。
そこで使えるのが「日報」です。
日報というと、チーム全体の情報共有や目標達成のために、悪く言えばお互いを監視してコントロールするための書類というイメージがありますが、ここでの「日報」は自分だけのもので、自分の時間の使い方を自分で把握するためのものです。
私はこの半年、日報を毎日貯めていた(※1)のですが、せっかくならと思い、そのまとめと振り返りを記事にしてみようと思います。
方法
自分がNotionで日報を書いているので、ここではNotionでどういう風に日報の記録・観察をしたかについて書きます。
毎日の日報のデータにプロパティをつけて、プロパティに毎日の作業内容と時間数を記録します。
この時、作業内容をある程度抽象化することで、集計可能にします。
この時、
1人でやったか、共同作業か
自分の思考が目的か、社内への情報共有/視点合わせが目的か
プロトタイピングかUIデザインか(ここで言う「UIデザイン」は、コンポーネント設計やガイドラインの策定などです。はっきり定義は決めていませんが……)
を意識して区別するようにします。
要は、何が主目的の作業かによって分類します。
分類には例えば、「UX議論」「プロトタイピング」「記事執筆」「外部の方と話す」「ユーザーリサーチ」などがあります。
さらに、NotionのFormulaのプロパティを使っていくつかの分類をグループ化して、分析しやすいようにします。
この時、先ほどの分類が細かければ細かいほど、様々な種類のグループ化ができるため、色んなパターンの分析ができます。
あとはNotionの最終列にある計算機能を使って、時間分類それぞれについて和をとります。
あとは数値をスプシなどに突っ込んで適当にグラフにすると、時間分類ごとの比率が見られます。
予想
さて、では自分はどんな時間の使い方をしているのだろうか……?
サービスデザインの上流工程(課題を見つけ、解決策を考え)を結構やってて、Figmaでプロトタイプ作って社内に見せてFBもらって改善するのをよくやってたな〜というイメージがあるので、予想はこんな感じです。
プロトタイピング>UXデザイン>フロントエンドコーディング>クリエイティブ>ユーザーリサーチ>フロントエンドコミュニケーション>UIデザイン
結果発表
ばばーん🎉
はい、全然違う!!
パッと目につくのは、フロントエンドですね。
実装して顧客に届けて反応見るのが、ソフトウェアで一番精度の良い仮説検証手段なので、コーディングにこれだけの時間を溶かすのはしょうがない気もします。わかりませんが。
「UX一人で考える」は何かと言うと、一人でシナリオや仮説を考えてる(悩んでる)時間です。
これがプロトタイピングの1.5倍あるのは意外というか、冷静に考えてみるとめちゃくちゃ良くないですね。
チームとしても相談がないと進めづらいし、ユーザーに当ててみないとわからないことも多いし、そもそも抱え込むという点で自分の精神的にも良くないし……。
無経験で今年いきなり1人目デザイナーをやっているので、インプットは意識的に結構時間取ってたつもりでした。なので10%というのは予想通りです。ただ、社外の人に相談しに行ったり、ワークショップ形式で一緒に何か作るのもインプットに含めてしまっているので、実態はもっと少ないかもしれません。
まあ色々思うところはありますが、これくらいにしましょう。
月ごと
月毎に見ていきましょう。
Notionのフィルター機能で絞り込めば、簡単に月ごとのリストを出すことができて、合計数値も見ることができます。
これもスプシにデータをコピペして、円グラフにしてみます。
月によって全然違いますね。
7月は、フロントエンドエンジニアが新しく副業で入ってくださるということがあり、創業初期に書かれたコードをほとんど置き換えたので、その影響で60%の時間をコーディングに使っています。
8、9月は集中が続かない時間も多く、また進捗もなくしんどい時期だったのですが、この半年でも特に「シナリオを一人で考える」時間が長い時期だったんだな、と分析してみて思います。これは失敗だったと思います。
10・11月は書店でフェアを開催したため、いつもよりDTPなクリエイティブ作業をしています。
「これ時間かけすぎだな〜」とか逆に「これはもっと時間かけないとダメだろ」思うところはありますが、これくらいにしましょう。
もう少し早く振り返りをやって軌道修正するべきだったと、この記事を書いている今、強く思います。
日報いいね!
今回は、特にカオスな環境の立ち上げ期のスタートアップの業務の日報で実践しましたが、他の局面でも応用できそうだと考えています。
仕事というと、どうしても生産性向上が至上命題という考えがあります。日報システムも生産性向上という目的に最適化されそうですが、日報には生産性向上ではない別の可能性があると思います。
それは、日々の生活を自律的に過ごすということ、すなわち、自分のやりたいことを自分の身体がやってくれるという目的です。
自分の身体は自分の思い通りには動きません。それはどうしようもないです。
それでも、何とかやっていかなければいけないとか、何かをやりたいと思った時、身体の機嫌をまずは観察して、何をしたら自分の身体の機嫌が悪くなるのだろうか、どういう傾向があるんだろうか、というのを考えたいと思った時に、日報は役立ちそうだなーと思います。
※1
日報を毎日書くのはしんどいです。
対処策としては、例えば日報に書かれた時間数をもとに給与計算されるようにしたり、日報を書いてから帰宅するという風に別の行動と結びつけたり、色々工夫の余地はあると思っています。
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