絵の個性はどこで生まれる?:『怪画憑現 “こわい”をつたえる』担当編集者インタビュー
こんにちは。生成AI生まれのミネオです。
今回は僕が気になっている本を紹介するコーナーだよ。担当編集者に突撃インタビューをしちゃいます。
いま気になっている本がこの『怪画憑現 “こわい”をつたえる』。編集部でちらっと表紙を見かけたときから「いったいどんな本なの!?」と気になって仕方がなかったんだよね。
この本、勝手に「こわい絵を集めた資料集みたいな本なのかな?」と思っていたんだけど…違ったんだ。“こわい”絵がテーマの、デジタルイラストの描き方の解説本だった!
こんな人に役立つと思うから、ぜひ紹介させてね。
じゃあ、担当編集のOさん!今日はよろしくお願いします。
よろしくお願いします(ドキドキ)
怪画憑現『 “こわい”をつたえる』ってどんな本?
ミネオ:“こわい”がテーマの本なんて珍しいよね。どんな内容の本なの?
Oさん:この本では、こわい絵=“怪画”をテーマに、プロのイラストレーター3名の“憑現”方法を紹介しています。
ミネオ:ああ、それで『怪画憑現』なんだ!名前からしてもう怖いよ…
Oさん:本の内容は、著者さんひとりずつ、
を載せています。
描き下ろしイラストのテーマは「現代日本」「雨」「侵入」です。
著者さん3名にまったく同じテーマを出し、それぞれが“こわい”と思うイラストを描いてもらいました。
1枚の絵を仕上げていく過程を、20ページほど使ってしっかり紹介しています。
ミネオ:メイキングでは、本当に細かいところまで解説されているから、自分でも取り入れやすそうだね。
水滴部分を描写するために不透明度を〇〇%に設定して…とか、ここを目立たせるためにあえてもやを入れる…とか。
Oさん:そうですね。メイキングでは「レイヤーの構造図」も載せていて、それぞれのレイヤーでどのページを読めばよいかがすぐわかるようになっています。デジタルで絵を描くことを勉強中の人の参考になると思いますよ。
ミネオ:盛りだくさんだね。Oさんは、なんでこういう本を作ろうと思ったの?
Oさん:ホラー系作品はテレビ・映画をはじめ根強い人気がありますが、実は“こわい”っていろいろな種類があるんです。
シチュエーションも多種多様だし、人の数だけ“こわい”があるとも言えます。
ミネオ:僕、「こわい」には種類があるんだっていうのを、この本を読んでしみじみ実感したよ。
その瞬間にもう怖い!みたいな、なんか夢に出てきそうな怖さもあれば、見た瞬間はそこまで怖くないけど、よく考えるとじわじわ怖いなっていう怖さもあったり…
Oさん:そうですね。“こわい”は多様だからこそ、テーマが同じでも、アイデアの膨らませ方や表現方法に大きな違いが出てくると思ったんです。
実際に、この本でテーマにした「現代日本」「雨」「侵入」についても、3人それぞれが異なる解釈をして、三者三様のまったく違う絵ができあがりました。
著者さん達がどんなテクニックを使って表現しているかも詳しく解説しているので、表現を磨きたい人にとっての気づきも多いと思います。
著者が「描く前にどんなことを考えているか」も解説
ミネオ:描き下ろしイラストのメイキングでは、著者さんが「絵を描く前にどんなことを考えたのか」とか「どんなコンセプトなのか」も、すごく丁寧に解説してくれているよね。
へー、絵を描く前にこんなことを考えてるんだ!って、面白かったな。
Oさん:アイデア段階の工程を入れることにはこだわりました。1ページ目がいきなりラフ(下絵)を描くところから始まるのは避けたかったんです。
「ラフに入る前」にどんなことを考えているのかをしっかり解説してもらう形にしたいと思っていました。
ミネオ:そうなんだ。なんでラフを描く前の解説を入れたかったの?
Oさん:ラフを描く前の工程にこそ、オリジナリティを出すヒントが眠っていると考えているからです。
たとえば、イラストを描くときに「三分割構図を使うことにした」とか「人の配置はこうした」って、慣れている人はパパッと決めてしまえることかもしれません。
でもイラスト勉強中の人や、これから勉強したい人には「え、なんでその構造にしたの?」「なぜ人をそう配置するの?」って思うのではないかなと。
プロが自然とやっているアイデア出しの部分を掘り返すことが、たくさんの人のヒントになると考えています。
ミネオ:なるほどー。それは知りたいかも!
なぜその構図を使うのかは解説書に「こういうときにはこの構図を使います」って書いてあるかもしれないけど、「この絵を描くときに、なぜこの構図を選んだのか」っていうところはあんまり書いていない気がするね。
そういうポイントこそが、著者さんのこれまでの経験から生み出されたノウハウなんだよね。この本を読めば、それが書いてあるってことかな。
Oさん:そうですね。
イラストを描き始めてしばらくすると、「なんだか同じ感じの絵になってしまう」「もっと表現の幅を広げたい」という悩みが出てくるという話を聞きます。
じゃあ、表現力のある人達は、なぜ表現力があるのか?を考えてみると、
だったり、
ということだと思うんです。
そのアイデアをどう膨らませるのか、どう引き出しを増やすのかのヒントが、著者さんへのインタビューのページで読めます。
イラストを上達させるまでにどんな練習をしてきたのか、普段どんなことを考えているのかなど。すごく参考になると思いますよ。
ミネオ:なるほど、頭の中の引き出しか~。
「絵に個性を出すためのヒント」がこの本にある
ミネオ:インタビューページも読みごたえがあるよね。
著者さんがどんなきっかけでイラストを描き始めたのか、これまでどんなふうに工夫してきたのかって、それだけで面白いし、絵の見方も変わりそう。
著者さんとSNSでやりとりできたとしても、さすがに細かい技法とかこだわりまでは質問しづらいし…。こうやって本で丁寧に解説してくれるのはありがたいと思ったよ!
Oさん:そうですね。書籍だからこそできる紹介の仕方を目指して、ここぞとばかりにいろいろ質問させてもらいました。
ミネオ:著者のひとり、fracocoさんのインタビューを読んだときには驚いたよ。
僕、これまで生きてきて、汚れやサビがどこからきているかなんて考えたことなかったし、汚れがつくきっかけによって描き分けられるの!?って心底びっくりした。
プロのイラストレーターはそこまで観察して、そこまで考えて描いているんだ…だから違いが出るんだって、納得したっていうか。
他にも、ギギギガガガさんのスランプへの向き合い方や、Toy(e)さんが制作スピードを速くするためにしている工夫など、とにかく学びが多かったよ。
Oさん:ミネオくん…いいこと言いますね。
作品そのものだけではなく、世界観やスタイル、創作源流、マインドセットにも触れられるちょっと変わった味のある本になっているはずです。
ここまで読んでくださった人も、「現代日本」「雨」「侵入」のワードから浮かんだ情景があるかもしれません。
実際に本を読んでいただけると「こういう演出もあるかも?」「こういうパターンも “こわい”かな」などと、いろいろと発想が浮かぶようになってくるのではないかと思いますよ。
ミネオ:『怪画憑現 “こわい”をつたえる』は、デジタルイラストの描き方の本だけど、“こわい”をきっかけに、オリジナリティのある絵を描いていくためのヒントにもなるはずだから、ぜひたくさんの人に読んでもらいたいね!
そういってもらえると嬉しいです。でも、描き方の解説本なので、当然ながら解説本としても役に立ちますので!(笑)
ぜひチェックしてみてね!