コーヒーという飲料は、焙煎によって生じる約800種類の香味成分を湯に溶かして飲むものです。その香味成分は、時間の経過とともに減少し、焙煎から8日目には60%も失われてしまいます。つまりコーヒー豆は「生鮮食料品」なのです。そういうわけでカフェジリオでは珈琲豆を自家焙煎しています。焙煎はコーノ式珈琲塾、堀口珈琲研究所セミナー、中野私塾珈琲豆店経営講座と渡り歩きましたが、どの主宰者も「深煎り」や「浅煎り」には言及せず、豆の味を最大に引き出すたったひとつの焙煎深度を追求していました。どんな国の豆も生で舐めれば味わうに及ばぬほど酸っぱく、焼け焦げてしまえば同じ炭の苦味になります。育った土地の土が作り出した風味を感じ取るためには、豆の風味を殺さず、豆全体に熱が入る低温投入法で、酸っぱくも苦くもない「完煎」が必要と知りました。美味しい完煎のコーヒーを、お楽しみください。