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人生にもしも…なんてないけど ④いつかは...って今か! 救急処置

父はどこだ?
ひゃー、運転下手・方向音痴・地理不案内の私が一人で行くのか?
弟に行かせよう!
電話するも、運転中か?
はたまた、面倒なこと頼まれると思ってでないのか?
時間がない!
幸い、搬送先は家から車で15分の病院になった。
頼むよー頼むよーと、曲がるところを間違えないか、唱えながらとにかく進む。案内板が見えた時はホッとして右折し、駐車場も診療時間外で広々で助かった!
ちょうど、施設の相談員さんが様子を見に出て来た。
病院に駆け込みながら、弟にも電話し、父を連れて来るよう伝えられた。

すぐ救急処置室に通され、心臓マッサージを受けている母の姿を確認した。
少し首をのけぞらせ、口には何かがかまされて、右の胸元は少しはだけていた。

そして、「じゃ…」という医師の声に促され、廊下でると、
「延命治療はしないと聞いているので、自発呼吸がなければもう何もできません。ですが、あと8分だけ心臓マッサージを続けてみます。
それで反応がなければ、もう…いいですかね。」
「はい、はい。」と答えるしかなかった。

いつかは…と思っていた。
介護5の寝たきり老人、痩せて骨と皮のまさにフレイル(虚弱)だけど、
飲む点滴の甘酒も飲ませてもらい、肌の色つやはよかった。
内臓は元気なんだと、細く長く続くと思っていた。
今朝、会った時も反応よかったじゃないか?
でも、すぐに先ほど目にした姿が思い出され…。

廊下で相談員さんから状況を聞く。
「今朝面会に来て下さった時にはねぇ…。夕食も普通に食べて、その後に、なんか様子がおかしいって職員が気づいて…吸引しても特に何も…。
AEDもして、ずっと心臓マッサージをしてきたんですが…。」
半分聞いて、半分は思考停止している感じだった。
何かしゃべらないと、と思い、
「まぁ、もうあんなに細いし…。寿命ってありますもんね。甘酒効果で、肌の色つやもよかったのにね。」と少し笑いながら、一気にしゃべった。


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