【ギフト商戦カンファレンス:後編】多様化する需要に適応する!今、ECで売れるギフトの3つのポイント
ギフトモールのオンラインギフト総研では、2021年から年に2回、ギフトに関する調査を実施しています。新しいギフト文化の兆しを捉え、何か新しい示唆をお伝えしたいという想いでギフトの在り方を定義・提言する活動をしています。
この記事ではオンラインギフト総研で行った調査内容をもとに、2024年のギフト市場の全体感とECで売れるギフトの3つのポイントについて、前編・後編に分けてご紹介。
前編ではギフトの市場規模に関する最新データや、販売チャネルの状況について解説をしました。
ギフト需要をどう読み解き、どういったサービスや体験を提供すればよいのでしょうか。後編ではECで売れるギフトの3つのポイントについて詳しく解説します。
前編はこちらから。
小川安英
Giftmall オンラインギフト総研 所長
ECで売れるギフト、3つのポイント
今、ECで売れるギフトとはどんなものか。3つのポイントに分けて解説します。ポイントの1つ目は「パーソナライズ、個別化」。2つ目は「分ける」と「包む」。3つ目は「法人需要に応える」です。
ECで売れるギフト1:パーソナライズ、個別化
例えば、友人の30歳の誕生日に想いが伝わる特別なギフトを贈りたいと考えたとします。本人の名前や記念日が入っている、オリジナルギフトはどうだろうと思いつきます。しかし、三日前のオーダーでは、注文を受け付けてくれないところがほとんど…。
こうしたケースで解決策の1つとなるのが、「パーソナライズギフト」です。パーソナライズギフトとは、その名の通り、パーソナライズ化されたギフトのことです。
オンラインギフト総研の調査では、「パーソナライズギフトを利用したことがある」と回答した人は6.5人に1人。「利用したい」と回答した人は約6割。需要の高さが伺える結果となっています。
様々なカテゴリで支持される「パーソナライズギフト」
当社が運営するギフトモールでも、パーソナライズギフトは様々なカテゴリで販売されています。名前を入れられるリップクリーム、お子さんの描いたイラストを刺繍したタオル、写真をプリントしたケーキ、オリジナルのボールペンやタンブラーなど、バリエーションは多岐に渡ります。
ギフトモールに掲載している商品65万点のうち、パーソナライズ可能な商品は8万点。(2024年8月時点)パーソナライズギフトの商品数・取扱高は年々増加しています。
1個から注文可能、最短で翌日配送のパーソナライズギフトが広がる
パーソナライズギフト自体は、20年前から存在していました。インターネットが普及し、事業者側がユーザーのニーズに対応する仕組みを整えたことで、急速に広がりを見せています。
例えばボールペンに名前や、オリジナルのメッセージを入れる場合、従来であれば10本単位や100本単位など、ある程度まとまった数のオーダーであれば対応可能というのが一般的だったかと思います。
ところが現在は、1本単位から注文を受けられる事業者が増えてきています。中には当日受けた注文に対して、最短で翌日届くケースもあります。
スマホから注文をすると、最短で翌日にはパーソナライズギフトが届く。その利便性が支持され、マーケットが広がっているのです。
パーソナライズ対応可能な商材は、1個単位からのオーダーにも応えられるよう、対応を検討してみてもよいかもしれません。
ECで売れるギフト2:「分ける」と「包む」
ECで売れるギフト、2つ目のポイントが「分ける」と「包む」です。物価高の影響により、実用的なギフトを贈りたいという需要が増えています。
実用的で家計の助けにもなるギフトとして思いつくのがお米やお酒、お肉やお菓子です。とは言え、10キロのお米を袋ごと贈るのはギフトとしていかがなものか。その解決策となるのが「分ける」と「包む」です。
圧倒的にギフトニーズの高いカテゴリは「食品・菓子」
当社の調査でも、ギフトで人気のカテゴリ1位はグルメ・スイーツであることがわかっています。「ギフトとして何を贈りましたか?」という質問に、47%の方がグルメ・スイーツと回答しており、圧倒的な人気を誇っています。
「分ける」・「包む」で人気のギフト事例1:引越し挨拶ギフト米
ここからは「分ける」と「包む」で人気の食品・菓子ギフトの事例をいくつかご紹介します。
1つ目が、引っ越し挨拶ギフト米2合です。その名の通り、引越しでご近所に挨拶回りをする際に配るギフトです。「この度ご近所に引っ越してきました●●と申します。どうぞよろしくお願いいたします。」といった具合に、お好きなメッセージを添えることが可能です。
主食の一つであるお米であれば、もらった側も負担に感じるものではありません。なおかつ、シーンに応じた挨拶のデザインを入れることで、普通のお米がギフトに転換しています。
参考までに、伊賀米のコシヒカリは10キロ6,470円。ギフト米2合は300g程ですから、値段に換算すると140円。分けて・包んで、ギフトにすることで付加価値がつき、460円で販売されています。
「分ける」・「包む」で人気のギフト例2:お菓子リュック
「分ける」「包む」で人気のギフト事例2つ目はお菓子リュックです。リュックの肩紐にラムネ、中にはスナック菓子が入っており、大人気の商品です。
中の菓子は900円程で買えるものですが、包装にこだわる、リュックに見立てることでお子さんがもらって嬉しいギフトに転換されています。
「分ける」・「包む」で人気のギフト例3:高級おつまみセット
「分ける」「包む」で人気のギフト事例3つ目は、高級おつまみセットです。北海道つぶ甘露煮や、紅鮭蝦夷糀漬など、9種類の厳選されたおつまみが入っています。
9種が小分けになることで、馴染みのある珍味がお酒を楽しむための上品なおつまみに転換されています。
「分ける」・「包む」で人気のギフト例4:食べられるブーケ
続いてご紹介するのは、ベルレーヌブーケボックス。箱を開けると花束が入っていて、そのお花は食べられる6種6個のマドレーヌです。花束代わりにもなる、一品二役のギフトとして支持されています。
ちなみにマドレーヌ6種6個は約1800円ですが、花束に見立てることで約4000円のギフトへと転換されています。
「分ける」・「包む」で人気のギフト例5:くまちゃん温泉
最後にご紹介するのは、くまちゃん温泉・白くまちゃんペアセットです。鍋の中の2匹のくまちゃんは、コラーゲンが詰まった水炊きのスープを固めたものです。お好みの具材を入れて火にかけると、くまちゃんがお風呂に浸かっている様子を楽しみながら、美味しいお鍋が出来上がります。
「映え」を意識した商品で、受け取った方がSNSにアップするケースも多いようで、非常に人気の商品です。
見せ方の一工夫で、自家消費向けの商品がギフトに変わる
このように分けて、包むことで付加価値をつけたギフトの事例はたくさんあります。ご紹介した商品は、いずれも自家消費向けの商品を小分けにしたり、ラッピングしたりと、包装の工夫を施すことでギフト商材に転換している点がポイントです。
ECで売れるギフト3:法人の需要に応える
ECで売れるギフト3つ目は「法人の需要に応える」です。「会社の周年記念に何か記念品を贈りたい。」、「会社のロゴが入ったオリジナルギフトを贈りたいが数百個単位で注文できるのか。」、「そもそもどこに注文をすればいいのか。」など、ギフトモールにはこうした法人からのお問い合わせが増えています。
法人ギフトの市場規模は2兆4900億円
そもそも、法人ギフトの市場規模はどのくらいあるのでしょうか。矢野経済研究所の推計によると、法人ギフトの市場規模は2020年のコロナ禍で大きく減少したものの、その後は急回復し、直近は2兆4900億円となっています。
法人ギフトの領域では取引先に贈るBtoBのみならず、BtoEの市場も拡大しています。BtoEとはBusiness to Employee、企業と従業員とつなぐ福利厚生です。
BtoB/BtoE問わず、法人ギフトは1回に数百個、時に数千個単位の注文が入ります。事業者は大量発注の法人ニーズにいかに応えられるかがポイントとなります。
様々なシーンで活用される法人ギフト
法人ギフトには様々な利用シーンがあります。周年記念、お中元・お歳暮などの季節のご挨拶、成約記念品、開店祝い…。企業のみならず学校の卒業記念品や、自治会などからのニーズもあります。
いずれにしろ共通するのは、一度にかなりの数の注文が入るということ。また、何かしらの加工を加えたりと、記念品としてギフトを贈りたいという要望が多くあります。
法人ギフトでも人気は「食品・菓子」
では法人ギフトではどのような商品が選ばれているのでしょうか。当社が行った調査では、福利厚生・来店の謝礼・成約記念、どのシーンにおいても1番人気は食品・菓子であることがわかっています。2番目が日常の消耗品、3番目が商品券という結果でした。
ギフトモールで人気の法人ギフトは「食器・キッチングッズ」
ギフトモールで法人のお客様から人気のカテゴリを調査した結果が以下です。
ギフトモールでは名入れギフトのバリエーションが豊富なため、食器・キッチングッズが1位という結果になりました。名入れができ、なおかつ実用性のあるアイテムとして人気を集めています。
実用的な商品が選ばれる法人ギフト
法人ギフトは、どのようなシーンで、何が選ばれているのでしょうか。
従業員向けのノベルティには名入れができるタンブラーやボールペン。USBやデジタルカタログギフトが選ばれる傾向にあります。
保険会社様が実施される無料相談会では来店の謝礼として、予算1500円ほどでお渡しできるギフトが選ばれています。商品としては実用的なものが多く、コーヒーやお米、パンケーキミックスやもつ鍋、高級ジュース、ラップや台所用洗剤など生活需品があります。このような自家需要の商品を法人用として提供するとかなりの引き合いがありそうです。
自動車など単価の高い商材では、成約記念の特典として6000円近い記念品をお渡しするケースもあります。
法人おまとめギフトの事例
ギフトモールでは、法人ギフトとして食器、文房具、食品、タオルなどが選ばれています。日常的な商材に少し加工を施すことで法人の需要に応えられるようになります。
個人からのオーダーは1個単位での対応が求められますが、法人の場合は同じものを数百個単位でオーダーされます。大量ニーズに対応できる事業者は、法人向けの商品企画を検討されてみてもよいかもしれません。
まとめて注文を受けられる、注文から発送までのリードタイムが差し迫っていないという点では、昨今問題になっている物流における2024年問題の観点でもメリットは大きいのではないでしょうか。
本記事のまとめ
ECで売れるギフトの3つのポイントについて解説しました。1つ目は「パーソナライズ化」ということで、デジタル技術とECサイトの特性を味方につけて、一点一点異なる加工を施した特別なギフトを提供できないかいうお話でした。
2つ目は、「分ける」と「包む」。自家需要の商品を分けたり、包んだりと、加工を施すことでギフトに転換するというお話でした。
3つ目は「法人需要に応えること」。法人のギフトに対応できる商品、大量発注に対応できる体制を整えることで、大口の注文に結び付くというお話でした。
ギフトモールでは今後もギフト市場全体を捉えながら、喜ばれるギフト体験、感動体験が簡単に届く世界の実現を目指していきます。
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