雑用係のプロを目指す2
前回書いた記事、『雑用係のプロを目指す』の続編。
「私はプロの雑用係になります!」と上司に宣言した私。
「もっと良い言い方あるだろ……」と苦笑いしながらも、やる気を褒めてくれた上司は、私の希望に応え、多岐にわたる仕事を任せてくれるようになった。
私は今、「事業推進本部」という部署に属している。
立ち位置が特殊で、全部署の上に立ち、全社的にサポートを行う部署だ。
だからある意味、私の宣言を実現するのにぴったりなポジションでもある。
他部署から次々と仕事の依頼が来る。
出張の同行(主に通訳として)、テスト実験のヘルプ、社内報用動画編集に、時には工場現場の組み立てまで。
毎日の仕事内容が豊富過ぎるぐらいだ。
本当飽きない。
おかげで視野も広がり、「今日はなんだろう?」とワクワクしながら出勤出来るようにでさえなった。
そんなある日、退勤後、同僚のSさんに「コーヒーでもどう?」と誘われた。
私が仕事で悩んでいた頃、相談にのってくれた同僚だ。
Sさんは数少ない機構設計部の女性であり、機械についての専門知識といい、デザインの腕前といい、男性陣も顔負けな程にバリバリと仕事をこなしている。
私は、そんなある分野を深く深く突き進めていく彼女のことがとても羨ましくて、いつか自分もそのようになりたいと思っていた頃があった。
「半年前でしたね、相談にのって下さったのは。あの時は本当にありがとうございました」
「もうそんな経つんだ。にしても、別人のように元気になったねぇ」
私は最近仕事が楽しくなったこと、ぴったりの部署に異動出来たこと、そして「プロの雑用係」として目指すようになったことを話した。
「私はSさんのような専門知識を身に付けられませんでした。なので、広く浅く活躍出来る方向で頑張ることにしたんです」
これを聞いたSさんはびっくりしていた。「え、decoさんは十分過ぎる程に専門的だよ」、と。
「通訳も、動画編集も、そんなの誰にでも出来ることではない」、と。
「雑用なんてとんでもない。
これらは全て、
decoさんにしか出来ない仕事だよ」
なんということだ。
他の人がやりたがらないことや、誰も手が出せない仕事とかを積極的に引き受けてやっていただけなのに。
でもよくよく考えてみると、こういった類の仕事だからこそ、「未開拓」の領域で、希少価値があったのかもしれない。
そして日々繰り返し作業いくうちに洗練され、いつの間にか
**
私だけの仕事スタイルが
すっかり出来上がっていたのだ。**
すごい。
毎日淡々とこなしていたことが積み重なって、こんな実を結ぶとは。
入社して初めて、自分が確かに会社に貢献出来ていると実感出来た瞬間であった。
目指してみるもんだな、「プロの雑用係」。
今後はもっとかっこいい呼び名を考えてみても良いかもしれない。
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(画像素材元:https://pixabay.com/ja/)
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