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長男のために立ち上がってくれた友人(2)
ギフテッドでしょ?
しかしまだこの頃、私は長男の素行面が原因で困っているという相談の仕方しかしていなかった。実際、そういった問題もあった。
ただ学校との間で起きがちな、学校の勉強が物足りず発生する問題、長男が学校の在り方に対して疑問に思う事自体が学校から問題視される問題、総じて長男の好奇心や考え方が学校の期待に沿わないために生じる問題について、親としても対処に困っているということについてはまだ相談できずにいた。
これに触れるのは、かなりの賭けになるだろうと思っていた。
ある日それとなく、長男の授業中の様子についてSちゃんママに話してみたことがあった。授業中ずっと本を読んだりゲームをしていることについてである。周りの子の持つ長男に対する印象や、一般的に学校の先生達から見た印象というのが良くないという問題があった。
Sちゃんママは参観日にも行くわけで、我が家の長男が授業中にゲームをしている所も目撃していた。「そういえばこないだ授業参観で、ドラちゃん見つけたから『よっ!』って声かけたらドラちゃんも『よっ!』って返してくれてさ。ゲームしてたから『授業受けないんかーい』って声かけといたよ。」と笑いながら教えてくれた。
これを聞いて、Sちゃんママが長男をことさらには問題視しないのだなということが分かった。ほっとした矢先、Sちゃんママが言った。「授業、びっくりするくらい退屈だったよ。先生これで首にならないの?って思うくらい。」(※担任の先生の授業ではありませんでした)
これを聞いて私はSちゃんママになら本音で話をしても良いかもしれないと気持ちが傾き始めていた。思い切って実は長男については発展的な問題や深堀りした内容なら誰にも負けないくらい食いつきが良くなるのだが、どうもそうでない場合は関心が持てずに問題が起きがちなのだという事を打ち明けた。
Sちゃんママが言った。「生徒が関心持てるような授業せずに、生徒側にまじめに話聞くように要求するっておかしいよね。」
この言葉を聞いて、もう迷いはなかった。思い切って、学校から問題視されて精神科の受診、発達支援、投薬の話が出ているが、長男にばかり責があるように学校が受け止めていることについては違和感を持っていること、加えて、1年以上前に知能検査を勧められていたこと、結果が高かったことも伝えた。
Sちゃんママは驚くでもなく、「うん、あのドラちゃんって、あれだよね?最近よく聞くようになったけど、ギフテッドでしょ?」とさらりと言った。私が口をあんぐり開けていると、「そうだろうって思ってたよ。もっとウハウハしなよ~!」と励ましてくれたのだった。
ウハウハなんてとんでもなく毎日頭を抱えているのが実情ということは既にSちゃんママには伝わっていたわけだが、「いや~もっとウハウハして良いと思うよ!」と背中を押してくれたのだった。
一時はほぼ数日おきに、毎度数時間話を聞いてくれていた。Sちゃんママと話す前と後ではこちらの気持ちが激変していて、一度など、長男が帰宅したら雷を落とそうと私も夫も噴煙を上げていたのに、Sちゃんママと話したおかげで長男の帰宅が待ちきれなくなり、私自身驚いたことに帰宅した長男をぎゅっと抱きしめて迎え入れられたことがあった。これくらいの気持ちの変わりようだった。それくらい、狂った車輪を逆回転して戻してくれるような存在になっていた。
(3)につづく