長男よ、利害対立が発生しておるのだよ(4)
どうするか
利害対立が発生する時、長男も嫌な思いをする訳だが、その際に、長男は嫌な気持ちを別の楽しい事を見つけて上書きすることで処理していると指摘を受けている。
これは最近お世話になり始めた居住地域担当の心理士の方から言われたことである。
そして、この方法ではもっと辛いことがあった時に対応しきれなくなるため、今から別の方法を身につけた方が良いと言われた。
それで、具体的には、以下のカードだったと思うが、長男と心理士さんがカードに書かれた気持ちに沿う最近の出来事をシェアし、その時感じた気持ちについて話すということを試している。私は同席していない。
たまたま辛いとか、悲しいというネガティブなカードばかりが出た日、長男は嫌な気持ちやネガティブな感情はないと答えたそうだ。心理士の方が、そんなことはないはずと思って「お友達と嫌な事があったらどうするの?」と訊いたら、「その後近寄らないようにする」と答えたそうだ。
心理士さんからは、以前から長男のコミュニケーションの取り方が、途中のプロセスを飛ばして結論だけ出すスタイルであり、ある意味とても効率的なコミュニケーションと言えると言われていたのだが、確かに途中の葛藤が我々にはあまり見えてこない。
それで一つ思ったのは、これがつまり効率的に見えて非効率なのではないかという事。利害対立が発生した時、他の人は長男のように他の好きな事をすれば処理できる訳ではなく、また離れれば忘れたりできるわけでもない。
利害対立が発生した時、自分が別の方法で処理できても、相手が同じだけ納得なりができていないと問題はくすぶり続ける。
そうすると利害対立が繰り返し発生し、相手の方が全く理解されないと感じるなど、相手がカサンドラ症候群と言えるような精神状態になるかもしれない。その際の怒りは長男に向けられるし、これは誰にとっても良い状態ではない。
ここから抜け出す方法としては改めて双方の努力が必要になるとして、これに気付く事が重要な一歩ではないかと考えている。
カードのやり取りをする際には、心理士さんも同じように自分の経験や気持ちを話してくれるそうで、これは長男が自分の気持ちだけでなく、人がどのように感じるかを知る良い経験になるし、その時人がどうして欲しいと思っていたかを知る経験にもなるだろうと思っている。
もう少し待つ
また、「自分が人から色々してもらったら、次は自分に少しくらい不都合でも恩返し」を長男がもう少しやってくれたら利害対立が減るのではと私が感じることについて、心理士さんは、「今は自分の嫌な気持ちを押し込めて対処していて、気持ちのタンクが満たされていないため、今は自分の事を満たすのに一生懸命になっているのだと思います。人の気持ちに沿った行動は、タンクが満たされてからになるかなと思います。」と言われた。
また心理士さんは、「今は小学校の同級生と話が合わないことがあったり、ドラ(長男)君も、図工室で一人でいるほうが居心地が良い状態になっていますが、中学校に入って、家族とは違う、でも大切と思える人たちとぶつかったりする中で、なんでだろう?と思う経験を積むことが、人の気持ちのことについては一番”入る”方法だと思います。」と言われた。
心理士さんの話では、長男は分かってはいるけどすんなりとは動けない状態のため、これが変わるきっかけも中学以降の社会的な関わりが鍵になるだろうと言われた。
そういった経験と、本来なら長男の気持ちを満たすことにも注力する必要があると理解した。
今、親は手を焼いている分、寧ろ長男にももっと協力をと求めがちであるが、それではタンク補充にはならないだろう。今助けられているのは大学病院の先生、心理士さん、カウンセラーの方々の存在で、長男はそういった人達と話すことは心地良いと言っていて、心のタンク補充に役立っている様子がある。そういった沢山の人の力を借りながら長男の成長を見守りたいと思っている。