見出し画像

長男よ、利害対立が発生しておるのだよ(2)

利害対立発生

残念ながら利害対立は発生してしまう。校外学習があった日のこと、長男が行きたくないと言い出した。実はこの前日と前々日に長男は休んでいた。そのためこの日は登校する予定でいたのだが、当日朝に時間割を見て、行きたくなくなったようなのだ。

しかし、この日は次男に軽い喘息が出ていたため病院に連れて行かなければならず、私が在宅勤務の合間を縫って通院対応という日だった。よって長男には、たった数時間のイベントだし、問題とならないよう参加してほしいと伝えたのだった。

長男は分かったと行って登校したが、早々に担任の先生から連絡が来て迎えを依頼されてしまう。長男が2日ぶりに登校したこともあり、先生がその日の予定を長男に伝えて問題なさそうかわざわざ確認してくれたそうなのだ。しかし、長男が学校に残って図工室にいたいと言いだしたため、先生達も不在になる中、イベントに参加しないなら迎えをお願いしたいと言われてしまった。

これは一番避けて欲しいことだった。下の子の通院を優先させなければいけない中、長男の迎えも決められた時刻までにとなると、母親一人では対応できない。

先生に事情を説明し、長男にもこの日は話をしていたのだと伝えたら、先生が再度長男と話してくれて、長男は行くと気持ちを切り替えたようだった。しかしである。ここで一件落着と思いきや、なんと出発間際になって、長男がタブレットPCを持参しようとしていたため、校長先生が持っていくなら参加させられないという趣旨の注意をした所、長男が「行かない」と言い出し、全てが振り出しに戻ってしまった。

本当に頭を抱えた。イベントの目的を考えたらタブレットPCなど持って行ってはいけないのである。しかし長男は元々行きたくなかったため、行くならその先でどうやってやりすごそうかとしか考えていない。その結果がタブレットPCの持参なのである。

長男はPCを持って行くと良くないことくらい分かっているが、退屈したらどうしようという不安に駆られたのだと言う。

いずれにせよ、担任の先生や他の生徒さんは出発せねばならないため、長男だけ学校に残り、今度は副校長先生から連絡をいただいて回収をと言われてしまった。次男の体調が少しは落ち着いていたため、急ぎ長男の回収に行った。

長男は図工室に併設された教具室にいた。「帰るよ」と声をかけたら、「帰りたくない」と言う。そりゃそうだろう。帰れば怒られることが決定している。あれだけ呼び出しは避けてくれと頼んでいたのだ。しかし、これ以上我を通したら更に迷惑をかけることになる。

そこに図工の先生もやって来て優しく長男の肩に腕を回して「お母さん来てくれたからさ、帰ろうよ」と促してくれたが、全然動こうとしない。

図工の先生には現在、長男がかなりお世話になっている状況だ。お礼と、子育てで困っていて、先生みたいに対応できるようになるためにはどうしたら良いでしょうかとついつい言ってしまったら、「僕もどっちかと言ったら、こっちなんで。」とニコニコしながら長男の方を指さし、「僕、ドラ(長男)ちゃん大好きなんですよ。」と言って、「ほら、今日は帰ろうよ、明日は1日ずっとここいていいからさ。」と長男に話しかけていた。

それでも長男は静かながらも「帰りたくない」の一点張りで、遂に図工の先生から「なら副校長先生に自分で話しておいでよ。副校長先生が良いって言ったら、図工室にいていいよ。」となり、長男はこれを聞いたらすっと立ち上がって図工の先生と一緒に職員室に行ってしまった。

副校長先生の了承が得られたということで、本当にそのまま図工室に残ることになった。そして図工の先生と戻ってきて、「ほら、忘れずに」と促され、長男は私に「迎えに来てくれてありがとうございました。ごめんなさい。」と言い、先生が「はい、ぺこりん」と言って頭を下げさせたのだった。

(だいぶ後に聞いた話では、長男は副校長先生に、「家に帰ってもすることがないから図工室にいたい」と言ったらしい。非常に忌々しい発言であり、前日と前々日に休みたいと言って休んでいたことを考えると自分勝手も良いところで、別途説教をしている。ただこの後の副校長先生の対応には脱帽した。「なら代わりに学校に残ることの意味として、給食の準備を手伝うこと。」と言われ、長男はこれに従った。長男にとっての意味ではなく、別途残ることの意味は副校長先生が示したが、長男はそれを受け入れた。)

(3)につづく