生まれたての頃(5)
一ヶ月検診で医師が仰天
一ヶ月検診は母にも付き添ってもらった。丸々と太った長男を抱いて、どんなもんだい、大変だったけど、一ヶ月でこんなに大きくしたぞと、意気揚々として診察の順番を待っていた。
一ヶ月検診では体重や身長を測る。体重を測ったところで急に医師の表情が硬くなった。医師はしきりと画面上の電卓で計算をしている。約5,500gという数字に違和感があったようだ。
医師:一体どれだけ飲ませたんですか?
私 :えっと・・どれだけ・・あの、飲みたがるだけ飲ませました。
医師の表情が険しくなった。
医師:大体で良いので、1日に何回母乳をやって、粉ミルクは一回何ccを、一日に何回くらいやりましたか?
答えに窮した。慌てて母の方を振り向いても、母はちょこんと座っているだけである。私と同じく母も1日の総量までは測っていなかったであろうことを察知した。
しどろもどろで一回あたりの量と回数を伝えると、ざっくり計算して1日に母乳+800ccの粉ミルクを与えていたようだった。
医師からは、出生時が約3,200gで、ここから計算すると1日あたり約90gで体重が増えている、普通は30gなので3倍のペースですと叱られた。
どうりで脂ぎっていた訳である。
私 :入院中に欲しがるだけ飲ませて良いと言われた気がするのですが、あれは・・。
医師:それは、母乳の場合だけです。粉ミルクは違います。
この時初めて母乳と粉ミルクは異なる物であるということを認識したのだった。代替品だと思いこんでいた。「いくらでも授乳して良い」と言うのはあくまで母乳に限定されていたのであった。
1日の粉ミルクの上限を全く無視していた訳ではなかったと思うが、スプーン一杯の粉ミルクに対して何ccのお湯を入れるかを気にしていたほどには1日の上限を気にしてはいなかったような気がしている。
そもそも、母乳+粉ミルクの場合に、母乳が一体いくら出ているか分らない中で粉ミルクをどれくらいやれば良いのかは難しい判断だった。
入院中の生活が他のママたちと違っていたり、様々な指導を受けるタイミングも違っていたのと、さらには看護師さんに粉ミルクの大半をお任せしていたこともあって、この辺りの感覚がつかめていなかったのかもしれない。
長男がしかしずっと泣くことについて、どうしたらよいか訊いてみた。
私 :ただ、この子がずっと泣いているのですが・・。
医師:それはお腹がいっぱいで苦しくて泣いているのです!母乳だけで十分足りてますから粉ミルクは控えてください。
まさかの満腹で泣いているという回答に鳩が豆鉄砲を食らったような衝撃を受けた。
しかし、どう考えても長男はあればあるだけ飲んだし、お腹いっぱいでいらないなんて事は一度もなかった。
粉ミルクが使えなくなった後の生活がいかに大変であったかは言うまでもない。私の母も一ヵ月検診の後には実家に戻らなければならなかった。
この後長男の泣き方は激しさを増した。今思うと過興奮性(OEs)によるものだったのではないかと思う。親もまいったが、近所からも虐待を疑われたり、漢方薬を飲ませるように言われたこともあって大変だった。その話はまたいつか続きで書こうと思う。