父親、息子の手綱を引き締める(3)
対応策が決まる
夫には、スクールカウンセラーや担任の先生から、とにかく長男に余裕がなさそうだと言われている事についても共有しておいた。塾が忙しくなった2月頃とタイミングを同じくして、長男が以前にも増して食い入るように読書していたり、様子が変わったようだが最近何かありましたかと学校から訊かれたこともあった。
学校でタブレットで動画を観ていることもあるらしいのだが、その際にコマ送りを忙しなくやっていて、長男が早送りと巻き戻しを高速でやって見たい所だけ見ていたため、これは相当忙しい人の動画の見方だと思いますと言われたこともあった。
また今回の面談でも担任の先生から、以前は図工室にいても休憩時間になると外に遊びに行っていたが、今はそのパワーも残っていないようで、疲れているんじゃないかと思うと言われていた。
塾が大変で朝も朝食を食べながら宿題をしているという話をしたら、先生も塾のことは詳しくはないけれど、転塾したら状況が変わるのではないかという話も少しされたのだった。
よって、様々な弊害が塾の大変さから来ている部分もあると私は思っていて、長男は学校で休むことでバランスをなんとか保っているのだとしたら、根本的な問題を解消しないと長男に指導するだけでは状況は良くならないようにも思った。しかし夫はまた別の考えをしていた。
夫:じゃ塾をやめたら図工室に入り浸ることはなくなると思う?
私:もう味を占めちゃったから難しいかもね。
夫:他の子も塾に行ってるけど、ドラ(長男)みたいになってないよね?
私:他の塾の忙しさは知らないけど、今の塾の大変さは相当なものだと思うし、よくドラ頑張ってるなって本当に思うよ。
私は塾というものがアクセルを踏めとは言っても、ブレーキのかけ方を教えないことに、このままだと子供が壊れるのではないかと思うこともある。塾というより受験という世界がそういうものなのかもしれないが。
私:あとさ、先生が時々図工室まで足を運んで、『今、〇〇やってるから、教室来てよ』とか『来ない?』って声をかけてくれることもあるんだって。そういう時は教室に行ってるみたいだよ。ある程度柔軟に対応できてるのかなと思ってたんだけど。もちろんこれを先生にさせ続けることに平気になってはいかんけど。
夫:1日最低2時間とか、必ず教室で過ごすように言った方がいいんじゃないかな。
私:担任の先生の授業の時に教室にいるってことが重要なのかなと思う。それが1日に1時間しかない日は1時間でも良いと思う。個別課題のない他の先生の授業は一段ハードルが高いと思う。あとは朝、必ず教室に行くって所から始めて、図工室にいると給食食べるの忘れる事があるみたいだから、給食は必ず食べるのと、先生が出してくれた課題をまずは場所は問わないから必ずやるって所からスタートしたらどうかな。
夫は課題をやりさえすれば図工室にいても良いとするのではなく、課題の有無に関わらず、先生が長男に発言を促してくれたりすることもあるのだから教室にいることが重要と考えていたと思う。また、課題があるから教室に行くとしてしまうと、先生が課題を必ず用意しなければと感じるだろうから、あくまで社会性を考えて対処を考えたいと言った。
最低何時間の部分は親だけでは決めるのが難しかったため、一旦方向性だけ長男に伝えることにした。夫の方が問題意識も高く、また最近の長男には夫から伝えた方がうまく行くだろうと思い、夫から話してもらった。
長男はソファーに突っ伏して頭を抱えながら聞いていたらしい。それでも最後は「わかった」と言ったそうだ。
先生にも夫から電話をした。以降、一応長男は朝は教室に最初に行って、先生と1日の過ごし方を決めて、課題があればやっていると聞いている。先生からも、コミュニケーションは取れていますと報告を受けている。
夫も時間割を見て、「今日は学活の時に教室にいたら?」「英語のテストはいいよ、その時間に図工室に行ったら?」と提案したりしている。こういったことが夏休み明け以降も継続できれば良いのかなと思う。
家庭内でも温度差があったり、時々矛盾した対応になっていることもあるが、長男が最終的に納得でき、人との関係も大切にしながら過ごしてくれたら良いのかなと思う。