入学式で感じた強烈な違和感「漢字が書けても書かせないでください」(4)
保護者会
極めつけは次男の1年生の時の保護者会だった。
主任の先生が、「この年の1年生には困っています。コロナもあって集団生活を十分してきていないせいか、基本的な集団行動が身についていません。授業中に先生が説明をしていると、自分が分かったタイミングで勝手に発言をし始めてしまう子がいます。これで授業がまともにできると思いますか?」とおっしゃった。
こういった集団行動ができない子がいるために、一部の子は埋もれてしまっているそうだ。あとは、1クラスの人数が多いこともあって、一人一人には目が行き届きませんと宣言された。先生が個別の生徒にあまり手を取られないように親がしっかり対応してほしいといったお話があった。
それで、一理あるのだが、終始先生が困っています、親にももっと状況を認識してもらって協力を得たいといった姿勢を前面に打ち出されると、違和感のほうが強くなってしまった。
学校が問題視することは本当に問題なのか
一体誰のための学校なのか、先生が困らないように子供が行動することが重要視されて良いのか。
先生が問題視する物事は、本来問題として認識されるべきものなのか。
入学したての一年生が漢字を書きたがることについても、そもそも問題視することが問題と言えないだろうか。
学校が問題児と考える子は本当に問題児なのか
漢字に限ったことではないと思っている。結局、問題児扱いされる子についても同じ事が言えると思うのだ。長男については完全に問題児として扱われているわけだが、今自主的に通っている大学病院とは別に、学校からも地域の発達支援に関するパンフレットや、精神科の情報ももらっている。
これは、学校から、もし学校の外の支援制度も使ってみたいとこいうことであれば紹介できるかもしれないと言われ、こちらもちょうど継続的に利用できるサポートを模索中であったことからお願いしたいと答えたことがきかけだった。学校が善意でやってくれていることは理解している。
しかし、学校が提案した趣旨は、長男をどうやって治療なり発達の支援をするかであったと思うのだ。こちらが提案を快く思うかは気にされていた様子だった。それでこちらがお願いしますと言ったらほっとしたようで、「学校や親だけでは抱えきれない問題ですよね」と言わた。
あくまで推測ではあるが、学校としても、学校だけで対応するのは難しいと感じているのだと思う。学校が働きかけても授業に興味を示すわけでもないし、相変わらず集団行動に困難を抱えている。それでやはり長男には他の方法で働きかける必要があると思ったのだと思う。
しかし、大学病院に行くと、長男を治す必要はないというのが基本的な意見のように今のことろ思っている。
こういったことからも、支援について考える際には、学校自身がカウンセラーや精神科医のような中立の立場にある人たちの見解に触れて、どれくらい学校の視点とズレているかということについても、少なからず認識だけはしてもらわないといけないと思うのだ。そうしないと、学校は恐らく永遠に、学校のやり方を変えない。
ある意味多様性というか、標準教育の枠組みに入りきらない子供がいるということを学校がポジティブに受け入れるようにならないといけないと思っている。枠にはまらない子を「困った子」や「問題児」と学校の視点でもって決めてかかることは弊害でしかないと思うのだ。適切なサポートにすぐに結びつかなかったとしても、少なくとも子供を見る目を変えたり、色眼鏡を外すことはできるだろう。
そして、学校が病院等との見解のズレを認識すれば、不適切な対応をしている教師にも気づけるし、叱責や体罰による指導が主流になって問題を助長してしまっている教師に対しても改めるようにと介入ができるかもしれない。そうすれば、かなりの数の子供が薬の量を減らせたり、あるいは飲まなくても安定していられる状況ができるのではないかと思っている。親の方も子育てがかなり楽になる。
これは自戒も込めてなのだが、子供に問題があると認識してしまう自分たちに問題はないのだろうかという視点を、学校には常に持っていて欲しいと思う。
学校と一括りにしない視点も
学校と言っても、一枚岩なわけではなく、中では様々な意見があるようだ。先生によっては、日本は諸外国と違って学年が同じなら皆同じことをやらせるために、追いついていない子はずっと追いつけないまま、先を行っている子はずっと待ちぼうけのままになるという問題があることを認識されている人もいる。
また、子供に対する指導方法も、先生の言うことは絶対であって問答無用で言うことをきくべきとする先生がいる一方で、強制せずに子供の気持ちに理解を示して寄り添うスタイルの先生もいらっしゃる。
ただ、後者の先生が若い場合、先生の苦労もそれなりだ。やはり立場が弱いために、生徒側に学校が期待する改善が見られない場合、先生自身が逆に管理職や先輩教師から指導法を変えるようにと指導を受けることがあるそうなのだ。
先生の中には、こういった状況をうまくすり抜けながら、生徒が心穏やかに過ごせるようにと、うまく立ち回ってくださっている方もいる。
TED 「学校教育は創造性を殺してしまっている」
学校が問題児扱いする子は本当に問題児なのかについて、こちらのTalkを引用したい。私がこのTalkを初めて聴いたのは、まだ結婚もしていなくて子供もいなかった頃だったと思う。noteを始めてから何度も思い出してはどこかで書きたいと思っていた。視聴回数が最多となるほど世界中で注目を集めているTalkだ。特に印象に残っていたエピソードが日本語のサイトに掲載されていたので、そちらを引用させていただいた。