弱気炸裂、でもやっぱり勇者だった
本命校の受験が終わってからも、まだまだ受験に追われる日々を送っていた。本命校の合格発表はまだである。そんな中、自宅に居るときの長男はかつてなく弱気モードだった。
長男:あぁ悲しい。
私 :やりきったんでしょ?別に手応えも悪くなかったんでしょ?それに今頃あがいたって結果変わらんわ。
長男:わかってるんだけどさ、でも悲しいじゃん?
もうずっとこんな感じだった。
私 :わかった。じゃ落ちてる可能性の方が高いんだな?絶対落ちてるんだな??
長男:いや、そういう訳ではないけど。
私 :じゃあ悲しんでどうするの?合格してたらどうすんの?
長男:無駄に悲しんだことを悲しむ。
私 :まだ悲しむんかい!
長男の気持ちも分らなくはなかった。本命校に対する気持ちがそれだけ強かったということだろう。長男にとっては人生の一大イベントであることは間違いなかった。3年間勉強して、たった1回のチャンスのために、体調管理もやってきた訳である。
合格を祈る
連日受験で、長男と夫が不在の中、私は一人で家にいる時間が多かった。そんな時は、本命校の合格発表の瞬間を想い、一体どんな気持ちになるのかと、想像もつかなかったけれど、時折り長男の「やったー!やったー!」という声が聞こえてくるような気がした。
そうなりますように。
そしてその声は心なしか低かった。そうか、毎日一緒にいて気づかなかったけれど、少し声変わりが始まっているのかもしれない。男子の声変わりが、ある日を境に突然変わるのか、少しずつ変わるのか、そういえば知らなかったなと思った。
しばらく喉がかれているだけで気のせいかとも思ったけれど、あれは声変わりで間違いなかったと今はわかる。
そんな長男の声を聞いていると、合格していてほしいと願わずにはいられなかった。また、その瞬間を一緒に祝いたいと思わずにはいられなかった。
勇者ここにあり
合格発表日も長男は別の学校をまだ受験していた。様々な気持ちや、気になることがある中でこうやって受験をするのだから相当なメンタルである。
そして合格発表は今やHP上に掲載され、インターネットがあれば確認できてしまう時代だが、我が家は校内掲示でも発表される学校の場合は、可能な限り足を運んでいる。
長男もここは嫌がったり怖じ気づくことなく、父親と向かったのだった。
逆に私はそんな勇気がなく、もうネットで見て、合格していたら改めて見に行くのでも良いのではないかと思ったけれど、夫があっさりと「最初から見に行った方が良いでしょ」と、合格でも不合格でも、現実を直視させることを選んだ。
その中の一校に、特待合格を出す学校があったのだが、我が家はそれを知らず、長男の番号に特別に印が付いているのを見て初めて知ったという事があった。嬉しかったのを覚えている。学校関係者の方が親子の記念写真を撮ってくださったようで、親子揃って表情が明るかった。
同じ日の朝、私の方も親子の記念にと、玄関口で夫と長男の写真を撮っていたのだが、その時は夫の顔に隠しきれないほどの疲労の色が見えていた。それが一気に消えていたなと思う。
長男が眩しい
送られてきた写真の中に、長男が少し眉間に皺を寄せて映っているものがあった。
私 :なんで眉間に皺寄せてんの(笑)
夫 :眩しい
私には何よりも長男が眩しく見えた。
私 :ドラ(長男)が眩しいよ!
夫 :はい、夜ピザ食べたいって
私 :飲み物とかも買ってから帰るね
夫 :早めに帰っておいでよ。褒めてやって。
長男の中学受験は終了、春からは新しい気持ちで中学校生活に入る。