穹羽之助

穹羽之助(そうのすけ)と申します! たくさんの人に自分の世界を魅せ、読んだ人全員を自…

穹羽之助

穹羽之助(そうのすけ)と申します! たくさんの人に自分の世界を魅せ、読んだ人全員を自分の創る世界に引き込む物語を書いていきたいと思っています。 現在、命が尽きると本になる世界を舞台にした微ファンタジー小説『ボクノミコト。』投稿済となっておりますので、是非ご一読ください✨

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ボクノミコト。#0

【あらすじ】 #プロローグ『花浜匙(スターチス)』「少し、お浚いをしようか」 「人間は命が尽きた時、一冊の本……命呼執となる」 「僕たち命呼執守は、命祀ノ棚にて保棺されている命呼執を管理することが主な仕事なんだ」 「他にも、彼らの人生は花として開花し僕たちはその花で栞を作る。そうすることで彼らの物語と残された者たちを繋ぐ導となる」 「まぁ要するに、栞は命呼執を読むための鍵ってことさ」 「例えば、この命呼執に咲いている『紫苑』。この花を摘んで作った栞を命呼執に挟むと

    • ボクノミコト。#エピローグ

      『君の命呼執。』【百日草:不在の友を思う、絆、いつまでも変わらぬ心】 梔 燈華 ー  ~ |    +  いお ー     ままま ま  の       い え   か へ  て     〇  も    つ      い  と し :_  う  か  お       う  う     か  まま だいすき   おうか だいすき  おにい  とうか   てい おうか  まま       すき  ここ、どこ?  おうかがないてる。  だれ。  ままは?  しらないひといっ

      • ボクノミコト。#8

        『帝王貝細工(ヘリクリサム)』「維久君、煌華ちゃん。命呼執守になる気はないかい?」  燈華の命呼執を見たあの日、梔さん達が帰った後に、ぼく達はそう声を掛けられた。 「君たち、燈華君の夢を見ただろう?」  ぼくは、燈華がもう帰ってこないことを知った日の夢を思い出した。 「……見ました。燈華の走馬灯?みたいな」  煌華は答える。 「煌華も、その夢見たの?」 「うん、てことは維久も見たんだよね」  ぼくは頷く。 「それがどうかしたんですか」  ぼくは命呼執守の方を

        • ボクノミコト。#7

          『百日草(ジニア)』 そこからはよく覚えていない。頭の中がボーっとしていて、気づいたら朝だった。  ただ、テイの夢を見た。ぼくは今よりも目線が低く、目の前にはぼくが立っている。隣には小学生の時の煌華が見える。あぁ、ぼくに初めて声を掛けてくれた時のテイの夢だ。二人は笑顔でひとりぼっちのぼくに声をかけてくれたんだ。テイが新しい両親の元へ行く前の日、三人で施設を抜け出してイザを拾ったあの公園で手持ち花火をしたんだ。確か、今と同じくらいの時期だったかな。  それからテイとの最後の日。

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        ボクノミコト。#0

          ボクノミコト。#6

          『想望する紫苑』「これは…あぁ、こっちか。いやはや、命呼執は重いものが多くて腰がやられるねぇ…。体はまだ二五歳だというのに…」  僕は手に持っていた命呼執を机に置くと腕を上にあげ、大きく伸びをした。 「まぁ、命呼執の重さは生き長らえた時の重さだからね。薄く軽いと思うところがある。他人の命呼執を勝手に読むことは禁忌だけれど…一冊毎に題名も質感も厚さも違う命呼執から伝わる温もりは、この仕事を愛するのには十分、かな」  そう語りながら後ろを振り返るが、いつも僕の話を聞いてくれ

          ボクノミコト。#6

          ボクノミコト。#5

          『衝羽根朝顔(ペチュニア)③』『テイは、いつ帰ってくるんですか?』と言うぼくの言葉に、その場にいた全員が黙った。ぼくは何か不味いことを言っただろうか?カスミさんは困惑した表情を浮かべながら、震える声で狼狽えている。 「あ、えぇと、燈華ね、うん、燈華は、すぐ帰って…くると…」  桔梗さんは深呼吸をするとカスミさんの肩を持って、ぼく達を見据える。怖い。なんだか、この場から逃げ出してしまいたいような感覚になった。助けを求めるように煌華の方を見る。しかし、煌華は何かを悟ったような

          ボクノミコト。#5

          ボクノミコト。#4

          『衝羽根朝顔(ペチュニア)②』 夏だから日は長いけど、早めに見つけたいところだ。 「あ、あれじゃない?」  煌華は目の前の商店街を指差す。遠目から見ても分かるくらい人が多く栄えている商店街。 「あそこから探すの…?」  ぼくはおずおずと煌華に聞く。 「行くしかないじゃんね」  ため息をつきながら二人で商店街に足を踏み入れた。そこから一時間、商店街の中を探したり人に聞いたりするも収穫はほとんどなく、二人でコロッケを食べながら歩いていた。 「梔さんいないね。というか

          ボクノミコト。#4

          ボクノミコト。#3

          『薄明の向日葵』 施設に来た時のことは正直覚えてない。そりゃ、物心つく前のことだから覚えているわけがない。だから私にとっての家族は双子の兄の燈華だけで、施設で仲良くなった子たちに新しい家族ができていく中、私たちは双子だからという理由で引き取り手がなかなか見つからなかった。仲の良い子が出来ても長く一緒にいられるわけじゃない。みんな新しい家族が出来ていなくなってしまうから、燈華だけがずっと一緒だった。  そんな時、一人の男の子がこの施設に入所してきた。あまりしゃべらない可愛い子。

          ボクノミコト。#3

          ボクノミコト。#2

          『衝羽根朝顔(ペチュニア)①』「テイ元気かなー?」  ぼくはそう言いながら煌華に目を向ける。  テイというのは、燈華のこと。小学生の頃、煌華が燈華のことを『テイ』呼んでいたのを聞いて、ぼくは彼のことをそう呼んでいる。  煌華は少し戸惑いが混じったような優しい微笑みを浮かべて「多分ね」と言った。  …煌華、どうしたんだろう。最近は煌華と話すことも少なかったから分からないけど、煌華の様子が少し引っ掛かった。何か怖がっているような不安を抱えているような…。何が煌華にそんな表情を

          ボクノミコト。#2

          ボクノミコト。#1

          『麝香連理草(スイートピー)』 イザが死んだ。  イザというのは、ぼくと親友の燈華、それと燈華の双子の妹、煌華の三人で内緒で飼っていた犬…『十六夜』の事だ。かと言って、実際に遺体を見た訳では無い。いつものようにご飯をあげに行ったらイザが居たはずの所に命呼執があった。  施設の裏にある少し広いスペース。ここにイザはいたはずなのだ。  なのに今は毛の一本も残っていない。  何の花かは分からないが、命呼執には小さく華やかなピンク色をした複数の花が咲き、風に揺れる。命呼執に名前は書

          ボクノミコト。#1