短歌で「言葉」に想いを込める
僕が関わっている『不登校新聞』で今年2月、短歌を詠み合う「不登校歌会」が開催されました。その時詠み合った短歌が『不登校新聞』の記事にまとめて出たので、今回はそれについて書いていきたいと思います。
過去 未来 すべて繋がる この先へ
この歌は、歌会に参加する前に僕が試しに詠んでみたものです。
過去や未来に起きている楽しいこと、喜んだこと、辛いこと、悲しいこと、人との出会いなど、すべてがこの先へと繋がっているという心情で詠んでみました。
シンプルで拙い歌ですが、過去や未来、そして「今」を含めて何か希望を持ちたいという自分の願いを込めました。
昨年7月、『不登校新聞』が歌人の俵万智さんにインタビューした際、「自分のなかのもやもやとした感情を、言葉にすることで一度立ちどまって見つめなおすことができる」と仰っていましたが、まさにこうやって歌として吐き出すことによって自分を見つめ直すことができ、また新しい自分を発見できた感じがしました。自分が抱えていた内面をアウトプットすることによって得られるもの、という感じです。
実際に歌会に参加してみて5・7・5、あるいは5・7・5・7・7という短く決まった形式の中で「言葉」に想いを込めるからこそ、多くの人に共感してもらえたり、伝わるものがあるのだろう、と思いました。
今回僕は、自分の世代の作品として人気の『ポケットモンスター ダイヤモンド・パール』と『ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス』をテーマにしてみました。
青と桃 二つの光 受けた子ら それぞれ信じる 物語
幾多ある 苦難乗り越え 黄昏の 夕陽を進み 辿り着く丘
それぞれ自分が原体験として受けたことを心情にして詠んでみました。
ゲームやアニメなどで展開されていた『ダイヤモンド・パール』シリーズで育った世代の子どもたちは今や大人になっているが、この時受けた原体験は思い出と友情を育み、それぞれ信じる物語として今でも輝いていると思っています。あの頃、『ダイヤモンド・パール』で一緒に育った友達1人1人に対する心情も表しています。
不登校で苦しんでいた僕自身もまたこの作品に救われていたので、その想いを歌に乗せました。劇中に登場するキャラ、ヒカリとシンジが歌に入っているのもポイントです。
また、『トワイライトプリンセス』の短歌は、主人公のリンクは劇中で数多くの苦難を乗り越え、夕陽を背に馬で進みました。オルディン大橋のキングブルブリンとの一騎打ちやラスボスであるガノンドロフに立ち向かうその雄姿は、不登校で逆境に立たされながらも進もうとした自分と重なって見えたので、その想いを歌に込めました。
『 ダイヤモンド・パール』と『トワイライトプリンセス』で受けた原体験は一生の宝物であり、詠みあげる際は熱が入りました!
自分がこういった作品に触れたことによって体感したことを同じ世代の人に共感していただけたら、という想いを込めています。
また、歌会で他の参加した人の歌を聞き、それぞれ不登校で抱えていた自分の内面が歌に反映されていてどれも印象に残るものでした。
不登校の中で感じていたコンプレックスや葛藤、希望などの内面が共感でき、同じ不登校経験者として突き刺さるものばかりでした。
その歌の「言葉」に込める作者の経験を物語っている感じがします。
まさにもやもやしていた感情を歌にぶつけることによってお互いの価値観を深めることができたので、とてもいい機会だと思いました。
このような機会を設けてくださった『不登校新聞』の皆様には、感謝しております。
ありがとうございます!
最後に一句。
誰かへに わからなくても この想い 噛み締めながら 歩む我が道