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時間を描いた男パブロピカソ
ピカソは世界的に有名で、その絵画はかなりの価値がある。
しかし世間は、いや世界は、パブロピカソの本領を知らない。
その、作品単体で語られることが多く、ピカソ自身を語ると言う場面はあまり多くない。
それはピカソが、通常の人生を送っていないと言う事と相まって、タブー視されている気が私はしている。
ピカソの功績として、多くの優れた作品を残した事は、その1つであるが、それよりもむしろ、時間を描いた、という価値は見捨てられているのではないかと思っている。
時間を描く、どういうことか説明は難しい。
しかしその作品を見たとき、そこに確かに時間の流れを感じる。
感じるだけではない時間の流れを感じ、その絵画からピカソ自身の思考が見るものに対して届けられるということだ。
メッセージ、という言葉で片付けてしまうほど簡単なものではない。
それは、時間そのものであり、その時間を描く作業を確立したピカソは、言うなれば魔法使いに近いものであり、魔女に近いものであり、悪魔と言えるのかもしれない。
あるいは、神と言っても差し支えない。
なぜなら、時間を描くと言う事は、人類が成し遂げられなかったことであり、現在においても時間を描くなどと言う表現はまだ確立されていない。
ピカソだけが、その偉業を成し遂げている。
しかし、それに気づいているものはほとんどいない。
それを感じることができる能力がなければ、その価値はわからないからだ。
あなたがもしピカソの絵を見て、その前に立ちじっと眺めているうちに、ピカソの思考が頭の中に飛び込んできたならば、それはあなたの頭の中で、ゆっくりと、そして加速度的に、流れ出し、時間というものが、あなたの頭の中で、ぐるぐると回り、始める。