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虚空へ

その先の虚空へ、僕は解き放たれた。
爛々と輝く町を背に歩いている。

相変わらず飲み会の後は歩いて帰りたい。
何の意味があるのか、暗い夜道、酔っ払って歩くのは危険だ、とか言われるけれど、これはやめられない。
歩く、というと簡単だけれど、だいたい10キロだ。
確かに、夜中2時から10キロは尋常ではないのかもしれない。
と思う、けれど、やめられない。

理由はいくつかある。
飲み会をして帰る、タクシー代は深夜割り増しの5000円ほど、別に高いものではない。それならいっそ、カプセルホテルに泊まったらどうか、だいたい3000円ほど。こちらが良さそうだ。
けれど、泊まったところで、朝起きて結局帰って身支度を整え、また職場に行く、何か大きな無駄が生じているようにも思える。
次の日が休みであれば、ゆっくりとカプセルホテルに泊まり、朝サウナなどを楽しむというのも、それはそれで非常に魅力的である。
それが、タクシー代以下で実現できるのだから、逆にやらない手はない。

けれど、休みの朝の充実を図ることが僕の本志である。
ちょっと頑張れば家について、眠るなり、ネットサーフィンなり、飲み直すなり、自由自在ではないか。

というわけで、虚空に向かって歩いている。

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