僕はメガネをかけない
真冬のテントサウナを体験する。
岡山、晴れの国、である。
今日も晴れ渡っていて気持ちの良い岡山の、山でグランピングをしている。
このグランピングの売りとして、テントサウナがついている。
ただ、水風呂はバスタブほどの小さなビニールプール、屋根もなく、シャワーもない。
グランピングにしては硬派である。
真冬のサウナが体験できるとあって、チェックインしてそうそう、薪に火を入れる。
15分ほどで暖かくなり、水風呂に水を張り、準備はできた。
水着に着替え、1月の寒空のもと、サウナテントへ。
石に水をかけ、蒸気を出す。
すぐに温まる体、汗が滲んで、つーっと落ちてきたところで、水風呂へ。
やや、というか、かなり冷たい。
これはシングル、と思うまもなく、体が悲鳴を上げるので、水風呂から出て外気浴へ。
木の枝の向こうに、三日月である。
その隙間からこっちをのぞいているのは、誰だ。
その瞳と目が合いそうなので、僕はメガネをかけずに、ぼんやりとした月の輪郭を眺めている。
風が強く、体はすぐに冷えてくる。
再びサウナテントへ。
今、月は、瞬きをしたはずだ。
そして向こうから、こちらを羨ましそうに思っているはずだ。