夜明けはまだか
夜明けに立ち会う。
その真っ暗な空が少し赤くなり、徐々にブルーに変わっていく。
夜明け前の空が1番暗く、1番静かで、まもなく出てくる太陽が、街を照らす前が最も美しい。
そのかすかな赤の空は、命の輝きにも思える。
その空のブルーは、僕が今まで見た中で、最も美しい色をしていた。
小高い丘の上でそれを見ている。
夜明けを見る、今までの人生で何度か経験しているが、それをグランピングの朝に見る。
今日もかなりいい天気である。
昼間になればかなり温度があるのかもしれない。
今は寒く、氷点下に近い。
だからしっかりとダウンコートを着込んで、夜明けを待っている。
まもなくだ、まもなく夜が明ける。
その前のほんの少しの間、僕はここで、何を考えているのか。
もうすぐ夜明け、の状態が最も暗く、だからそこで折れて、夜明けを体験しないまま沈んでしまう人がいるのかもしれない。
その状態を我慢し、何とかやり過ごせば、すぐに明るくなる。
その暗く、苦しい状態、そこが最も美しいと言う矛盾を感じる。
いや、矛盾ではない、暗く苦しい状態は、美しいのだ。
みんな、大丈夫。
もうすぐ夜明けだ。