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ピラニアのような雲が左から右へ
水風呂で締めた体の水滴を丁寧に拭き取って、外に出る。
このサウナ施設は、外気浴で寝転ぶことができるのだ!
かなり豊富に場所が用意されている。
寝転び、空を見上げる、雲ひとつないいい天気であった。
いや、小さな雲が左から右へ、怠慢な速度で流れていく。
その雲はよく見ると、ピラニアの頭のように見える。
口のように三角に空いたところはギザギザになっていて、鋭い牙のようである。
また目の部分もあり、エラのようなものも確認できる。
まさにピラニアである。
けれど、頭しかなく、体は何処へ行ったのだろうかと考えていると、彼の後ろからジョーズのような雲がやって来たではないか。
なるほど、淡水魚と海水魚と違いはあれど、ピラニアはジョーズによって体を齧られたに違いない。
それでもなお、頭の部分はせめて残してやろうと、逃げているんだな。
ぼんやりと僕がそんなことを思っていたら、その下を鳥が横切っていく。
ピラニアもジョーズもあくまでも緩慢である。
鳥はせっかちすぎた。
僕は寝返りを打った。