あゝ、良夜かな
前回の良き夜
良き夜のYokanの部分を掘り下げよう。
図書館でぶらぶら歩きながら、本を眺めていると、彼女からLINE。
「ごめんなさい、少し遅くなりそう、先に入って食べててください」
YES、そういうこともあるだろう、僕はむしろ一人で飲む酒が好きだから悲しくなんかないよ、Yokanは膨らむばかりだ。
と、地下酒場へ向かう。
ちょうど若いバイトくんが「準備中」から「開店中」に看板をひっくり返したところジャストタイミング。
いいすか?と聞いて、もちろん、と答える君のスキル、なかなかやるねえ。
まだ開店したてで、他の客はいない、お好きな席にどうぞ、と言われて、端の方の入ってきた客に一見してわからない、半個室みたいな席に着く。
別に隠れているわけじゃない。
僕は独身だし、30歳の筋骨隆々な若者である。(ことにする)
女子と食事をするのは悪いことではない。
けれど、ここは狭い田舎町、人々の楽しみの大半は噂とNetflixである。
僕が女子と食事をしていたと誰かに見られてしまうかもしれない。
別にいいけど、不要な誤解を与える可能性があるので、少し奥に席を構えるのだ。
さて、お通し占いである。
このお通し占い、というのはいつか記事に書いたことがあるので、検索してみてください。
そういうひとり遊びをしながら彼女を待つ。
何気なく、携帯をみる、いや、別に待っているわけではないし、遅いなあ、とか思ってないし。
すると彼女からの新たなLINE。
「ごめんなさい、仕事のトラブルで、もう少しかかります。私は今日、飲みたい気分だけど、遅くなるかもしれません、用事があれば次回ということでもいいよ」
少しだけ砕けた文章に、僕は、ハイボールと、ハムカツを頼んで返信する。
「あゝ、良夜かな、いつまでも待てそうです」
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