魚が鱗を脱ぐなんて
脱衣場に鱗があって、僕は魚が来てるんだ、珍しいこともあるものだ、と思った。
同時に鱗って脱げるんだ、と思ってからはて、あれって皮膚みたいなものじゃなかったっけ、と思い直した。
だとしたら不自然だ、皮膚を脱ぐわけにはいかない。
つまり、魚を殺しておいて、鱗を脱がせた可能性が高い。
事件性がある以上、僕が深入りすべきでないのかも知れない。
変に首を突っ込むと巻き込まれて、魚の恨みを買ってしまうかも知れない。
魚と共存する僕としてはそれは避けたいことだった。
鱗はまだ湿っている。
すなわち、それが外されてからあまり時間が経っていないと言うことだ。
犯人はまだ近くにいる。
脱衣場には僕の他に誰もいないから、浴場にいる誰か、が犯人だと言うことになる。
名探偵として、僕は鱗を脱がせた犯人を探そうとした。
諸々省略し、犯人は捕まった、うなぎであった。