夏の終わりの短い雨【雑文】
盆の休みが終わって、仕事と日常が戻っていたけど
暑さは変わりなく毎日続き、体にこたえていた。
仕事中だったけど、急に降り出した雨に都合よく理由を重ね
近くにあった喫茶店で体を休めていた。
急に降り出した雨と店内に流れていた曲が耳入り、
ふとあの頃が思い出される
あの夏、僕はテレビの中の女優に恋をした
惹かれた理由はよく思い出せないけれど
僕のこころに忘れることのできない跡を残していった
そのドラマは夏休み中に放送されていて、僕は毎日テレビで
彼女を見てから、部活に出かける日がしばらく続いた。
その年の夏はとにかく暑くて夕方になるとよく雨が降り印象に残っている
休みもあと少しとなって、ドラマも終わって彼女を見ることが
できなくなっていた僕は、宿題に追われていたけれど、
このときでも彼女は僕の中にいた
もう数日で休みが終わる頃、友人たちと打ち上げ花火を見に行った。
たくさんの人たちと並んで歩きながら、夜空を見上げていた。その時なにかの拍子に目を奪われたその人を見ると、彼女を見かけた。
僕はハッと驚き息を飲んだ。確かにあの人がそこにいた、
少し前まで見ていた人、、、。
追いかけたかったけど思うように進めなくて、僕は見失ってしまった。
もしかしたら、見間違えたかとも思えたけれど、、、。
ひときわ、大きい花火が上がった。もう花火も終わりをむかえるけれど、
少し前のように心が華やぐ感じがした。
窓越しに見る雑踏の向こうで車のクラクションが響き我に返る、
15才だった夏を思い出していた。雲間からは夕日が差し込み、
外の雨はいつの間にかやんでいた。