メンタルヘルスマネジメント検定Ⅰ種1-1③「精神障害による労災保険給付」
労働者が発症した精神疾患が業務上のものとして労災認定されると、労災保険が適用されます。「療養補償給付」として支給されます。働けなくなった場合は、「休業補償給付」(休業4日目からでないと認定されません)を受けることができます。
労災保険上の「治癒」には注意が必要です。症状が残っていながら、これ以上の医療効果が回復できないと判断される場合でも、老竿保険では「治癒」として療養補償給付をしないことになっています。治癒の判断は主治医の意見を踏まえて労働基準監督署が行います。判断が難しく、「治癒」していない場合は療養給付と休業給付の両方が継続されます。
労災によって休業している労働者の解雇は原則として禁止されています。しかし、例外があります。
例外①症状が固定して30日経過した
例外②使用者が打ち切り補償を支払った
例外③傷病補償年金が支給されて3年経過した
例外④天災等により事業の継続が不可能となった
つまり、療養給付を受けている労働者が治癒に至らないときは解雇できません。先ほどの「治癒」判断が難しいのはそのためでもあります。
社会保険の障害給付は初診日から遅くとも1年半が経過した時に障害認定されます。労災保険の障害給付の場合は「治癒」しない限りは障害認定されません。
長期療養になりますと、職場復帰ができないケースが増えています。こうしたことから、復帰支援に向けての具体的な方策が求められています。
最近では非正規職の増加によって、ダブルワークを強いられている労働者が少なくありません。このため、複数職での精神障害の認定に関して方向性が出されています。
一つは、異なる事業所における労働時間や日数はそれぞれに通算することで、もう一つは夫々の事業所の出来事を心理的負荷評価表に挙げはめて、心理的負荷の強度を評価することです。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。精神的なダメージは事故に比べると、見付けにくいため知らず知らずのうちに取り返しのつかない事態になりかねません。
管理監督者は、こうした部分に気を付けないといけません。