見出し画像

「自調自考」をモットーとする渋谷教育学園と武藏

息子は小4から塾(SAPIX)に通い、2022年2月に中学受験を終えました。


SAPIXでは、5~6月くらいから順次、学校説明会を主催し、その模様をネットでも配信しています。


灘校の元教師の話を紹介したことがありますが、勉強しろとは言わず、生徒が自分で考え、自分で立ち上がるのを待つ、と言っていました。


SAPIXから配信される学校説明会の情報を見ていて、「自調自考」を教育上のモットーとする2つの学校が目に入りましたので、ご参考までに紹介したいと思います。


渋谷教育学園(渋幕中/渋渋中)の自調自考】

「自調自考」とは「自らの手で調べ、自らの頭で考える」という意味。


たとえば、時間の管理も生徒にさせるため、本校ではチャイムが鳴らない。


休み時間のスマートフォンの利用も自由だが授業が始まっても切り替えができない生徒には注意する。


そのうちに自己管理ができるようになり、高3までには、自習して授業を待つまでに成長。


本校では6年間かけて(2年ずつ3つの段階に分けている)、自由な環境のなか、自分で考えて行動する力を育んでいる。


(中1・2)は基礎・基本を定着させる期間とし、「1日1時間程度の家庭学習を必要とする量」の宿題を出して、学習習慣を確立。


「30枚のプリントを1か月後に提出」といったように、課題はまとめて出し、勉強のペースや配分は生徒自身で考えてもらう。


(中3・高1)では宿題を減らし、自主的な学習を促す一方、道徳の時間などを通して、「自分らしさ」や「自分の適性」などについて考える時間を設ける。


希望する進路に向けて本格的な学習が始まる(高2・3)では、選択授業を増やしている。


武蔵中の自調自考】

10代のうちに試行錯誤を繰り返しながら、自調自考の“エンジン”を身につけられるかどうかが、その後の人生を決定づける。


武蔵には、自然に自調自考のエンジンを装着できる校風があり、自分の進みたい方向に“飛べる”ようになるはず。


自調自考の力を育てる「本物に触れる学び」を大切にしている。


例えば、緑豊かなキャンパスで行う生物観察、「自分の歩幅と距離を比較して地球の大きさを測る地学の授業」「江戸時代の古文書を読んで『原典』に触れ、変体仮名を学ぶ国語の授業」など。


「生徒自身がコースを決め、教員は見守ることに徹する」という中1の山上学校(林間学校)。


中2では総合学習として、群馬県みなかみ町で3泊4日の民泊学習を実施、事前に地域研究をし、現地で生活体験、自然体験、歴史学習に取り組む実習がある。


上記2校は、同じ「自調自考」をモットーとしつつ、学校ごとの特色がよくあらわれていると思います。


渋谷教育学園は、1980年代に新設された進学校ですが、麻布出身の校長が、グローバルな舞台で活躍できる人材を育てるため、教育理念として、自分で調べ考える「自調自考」を掲げました。


渋谷学園は共学で、自由な校風で知られます。


一説には、麻布出身の校長が、「麻布の共学版」を目指したとも言われます。


シラバス(学びの設計図)があるという点がユニークだと思います。


生徒が担当の先生の書いた1年間の授業計画と解説を読み、自らすすんで学習する姿勢を育てることを意図しているといいます。


武蔵中は、1922年に開校した7年制の旧制高校を前身とする学校です。


創立以来、「東西文化融合のわが民族理想を遂行し得べき人物」「世界に雄飛するにたえる人物」「自ら調べ自ら考える力ある人物」を「武蔵の三理想」に掲げています。


旧制高校だったため、戦前は12歳で武藏に合格すればそのまま帝国大学まで進学できるという真のエリート教育、そして独特のアカデミズムがその土壌にあり、「本物」に触れて学ぶという深い探求がとてもユニークだと思います。


武藏は男子校で制服はなく、渋谷学園とはかなり雰囲気が違うところもあります。


異なる2つの学校ですが、こうしてくらべてみると教育哲学や本質的なところでは意外に共通する部分もあり、ともにいい学校だと思います。


いいなと思ったら応援しよう!