中学受験後に待ち受けているもの
中学受験で我が子が本命校に合格したものの、入学説明会で母親の目の前が真っ暗になった、そのわけは…という趣旨のネット記事がありました。
親の本音と現実とのギャップがわかる話だと思いましたので、紹介します。
首都圏の中学入試は、2月中旬に合否が出揃います。
合格発表後に親と子を待ちかまえているのが、受験関係者の間で“学校招集日”と呼ばれている「入学説明会」です。
首都圏では、多くの学校が同じ日の同じ時間帯に入学説明会を開催し、本人と保護者の出席を義務付けています(欠席は辞退と見なされます)。
いわゆる、「統一招集日」で、私の息子が受験した2022年は、祝日の2月11日でした。
複数の学校から合格を得ていても、物理的に複数の入学説明会に参加することができないことから、このタイミングで進学先を確定させるという意味があります。
説明会の出席人数が学校側の予想より少なく(つまり辞退者が多い)、入学者数が定員割れになりそうであれば、急遽繰り上げ合格を出すこともあります。
記事によれば、筆者(受験生の母親)は、子息が志望校に合格した喜びに胸を膨らませ、「入学説明会」によそ行きのスーツ姿で臨んだそうです。
学校と保護者の顔合わせの場であり、「中学高校の6年間、息子を通わせていただきます」と親の意思を学校に伝えるとても大切な日、と表現しています。
校長の話は、挨拶に続く、定番の祝辞を待っていた親の期待に反し、話は予期せぬ方向に進んだといいます。
中等部の入試が終わったものの、高3生が大学受験の真っ只中にいること、必死になって大学受験と戦っている高3生は、6年後のご子息の姿だ、という話があったそうです。
期待していたお祝いの言葉もなく、校長から出たのは6年後の大学受験の話で、子息が合格した喜びで膨らんでいた筆者の胸は一気にしぼんだといいます。
校長からは、6年間責任を持ってご子息をお預かりすること、先生方の教育方針に従えば志望大学の現役合格を保証すること、本日ご子息には教室で課題を配布しており、自宅に戻ったら問題に取り組み、入学式のあとに提出するように、との言葉があったそうです。
それを聞いた親たちの口から大きなため息が漏れたといいます。
更に校長はたたみかけます。
曰く、大学受験に向けて塾に通い始めたお子さんもいると思うが、本校のカリキュラムをきちんとこなせば塾は不要であると。
学校招集日は、「志望大学現役合格という共通の目標を掲げて学校と家庭が同盟を結んだ日」になった、と表現しています。
筆者(受験生の母親)が子息の進学先としてこの学校を選んだ理由は、校長という百戦錬磨の司令官のもとで進学実績を着実に上げている校風に惹かれたからだそうですが、まさか中学入学前から、子息を大学受験という戦地に再び送り出すことになるとは全く予想しておらず、目の前が真っ暗になったそうです。
中学受験をすると、多くの場合、小4から3年間勉強することになります。
親子が長く続いた受験勉強の末にやっと勝ち取った、中学合格をまずは祝って欲しい、ねぎらって欲しい、というのが本音だと思います。
これからの中高6年間、高校受験で中断されることなく、青春を謳歌し、のびのびと過ごしたい(過ごしてほしい)、と思うことでしょう。
ところが、中学合格によってそこから大学受験に向けた新たなステージが始まるのです。
それを避けたいのであれば、最初から付属校に行くしかありません。
中学受験をスタートするとき、大学やその先を見据えた長期的な戦略が必要だと思います。