エコエコアザラク
70年代、輿の抜かすほどに斬新だった漫画があった。
この驚きは、その時代にリアルで読んだ者にしか分からないだろう。
なぜならば、恐怖を誘う漫画の多くは日本人の湿度で発表されたものが多く、楳図かずおや水木しげるが最旗手だった。
この時代に、西洋黒魔術を主体とした恐怖漫画が登場した。
題名は、漫画の〆の台詞でもある。
エコエコアザラク。
斬新だった。
『エコエコアザラク』
原作 古賀新一
連載 週刊少年チャンピオン(秋田書店)1975年9月1日号 - 1979年4月4日号
※ 週刊少年チャンピオン連載終了後、月刊少年チャンピオンにて
「魔女黒井ミサ」「魔女黒井ミサ2」として高校生編を連載。
ホラー漫画誌・サスペリアにて「エコエコアザラク II」を連載。
現代では西洋魔術の題材は珍しくないが、当時は画期的すぎた。
毎回、ハッピーエンドにならない刹那的な内容も衝撃だった。
こういう驚かされる漫画に出会う機会は、最近、ない。
「エコ・エコ・アザラク(Eko Eko Azarak)」とは、ウイッカのチャントの冒頭のフレーズとされる。「魔女の詠唱」または「エコ・エコ詠唱」としても知られている。
ウイッカはジェラルド・ガードナーが1954年に発表した 『今日の魔女術(Witchcraft Today)』から広まったもの。
少年漫画としては難解な具材だが、学園ものにアレンジすることで、この時代の読者の心臓を鷲掴みにしたと思う。ワシも握りつぶされそうな衝撃だった。
この当時の少年チャンピオンは ネ申 雑誌だった。
人気漫画の宝庫だった。
ジャンプよりも販売実績も社会的影響も大きかったと思う。
『ブラック・ジャック』(手塚治虫)、『ドカベン』(水島新司)、『750ライダー』(石井いさみ)、『がきデカ』(山上たつひこ)、『マカロニほうれん荘』(鴨川つばめ)などと並んで、『エコエコアザラク』は同誌の黄金期を支えた連載漫画だった。
このフレーズは、映画「魔界転生」で沢田研二扮する天草四郎が唱えたのも驚きだった。
ゆえに、オマージュをした夢酔作品もある。
美しき女子中学生である魔女の唱える詞には、まだ心が縛られているように思う。