だんだら羽織
新選組の定番。
浅黄色の羽織。目立ちますね。しかも高価な代物。
そして……隊士からの評判は芳しくない。
このデザインのベースになっていたのは『仮名手本忠臣蔵』に出てくる赤穂浪士たちが着ている討入のオマージュ。
浅葱色は武士が切腹するときに着用する裃の色。青じゃなく、浅黄色が正しいのです。そこには常に死を意識して、徳川の治安維持と尊皇攘夷に邁進する覚悟を込めたものとされる。
この奇抜なデザインを採用したのは、芹沢鴨のトップダウンとされます。
文久3年4月下旬、大坂今橋の鴻池善右衛門方を訪れ200両をせしめた芹沢鴨。その金で浅葱色地に袖に山形を染め抜いた麻の羽織と紋付のひとえ小倉袴の三つ揃え。これを100人分の隊の制服として、だんだら羽織を大丸呉服店に注文し制作した。一着、相当な値段。
「羽織だけは公向(おもてむき)に着用するというので、浅黄地の袖へ忠臣蔵の義士が討入りに着用した装束みたようにだんだら染を染めぬいた」(『新撰組顛末記』永倉新八著)
普段から派手過ぎて着たくないというのが隊士の本音。
池田屋事件を最後に、新選組結成およそ一年足らずで廃止されたそうです。この有名な羽織の実物は、現在一着も発見されていないとのこと。
実際の新選組は、羽織も袴も全身黒ずくめの衣装。夏場は羽織がなかったと思うので、袖章で新選組アピールしたのではないでしょうか。
2020年に大丸呉服店で羽織を復元したそうですが、現物のない復元はチャンバラ活劇やドラマや漫画をベースにせざるを得ない。復元ととるか、二次創作とみるかは、あなた次第、なのである。
ひの新選組まつり、本日開帳!