《いづこもおなじ》嵯峨野小倉山荘色紙和歌異聞~七十の歌~
《いづこもおなじ》原作:良暹法師
学校(ガッコ)帰りにカツアゲやって、家(ガサ)に帰るとオフクロがサツにパクられたところ。
知らん顔して通り過ぎ、ムショのオヤジに電話しようかと思ったが、やめた。
その日、雨が降る夕暮れ、ガード下で売人から買ったヤクを一服。
俯くと、闇が迫る中、道向こうのゴミ捨て場で段ボール箱に入れられたティラノザウルスの赤ちゃんが鳴いていた。
抱き上げて懐に入れ、コンビニでミンチ肉を買ってやると、一人ぼっちがくしゃみした。
なんてことない一日。
<承前六十九の歌>
横笛を吹きながら式子はスッと立ち上がり、裸体のまま定家の前に立った。
月の明かりの青白さの中、式子の乳房が眩しく浮き上がり、乳首と乳輪の浅い桃色を曝け出した。くびれた腰をうねらせ、ゆらゆらと臀部を律動させて式子は妖艶な曲を奏でる。股間に潜む黒々とした叢が陰影深く月の光を浴びていた。
「さびしさに 宿を立ち出でて ながむればいづこもおなじ 秋の夕暮れ」
定家は舞を式子に浴びせながらさらに謡う。
「あまりの寂しさに耐え切れず、寝衾から出てまいりました」
横笛から唇を離し、式子が笑う。
「こなたを眺 めおれば、なるほど、どこも同じ、この寂しさは……」
<後続七十一の歌>