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《陽だまりにて》嵯峨野小倉山荘色紙和歌異聞~八十九の歌~

《陽だまりにて》原作:式子内親王
「恋する娘は今も昔も同じやね」
母は式子内親王の御歌を並べながらつぶやく。
「玉の緒よ、絶えねば絶えね……」
うちはどうしたらいいの……?
このままやと思わず「好き」って言ってしまいそう。
――ね、どうするの?
眼で問いかける母はうちをこまらせる。

<承前八十八の歌>
定家の舌が式子の乳房を離れ、臍の周りを踊り歩き、柔らかな下腹部へと下る。右手の指を式子に咥えさせ、しゃぶらせる。左手が太腿の内側へと侵入していった。そして、風のようにそこいらをさすらう。
「うっ……」
恥じらうように腿を閉じようとする式子。定家の左手はそれを無理にこじ開けるのではなく、さらに下方に流れて、式子の右足の指に辿り着いた。強く弱くその指先を揉む。仄かな快感が式子を捕えた。定家は舌を下腹部から離し、足指を舐める。
痺れるような緩やかな快さに浸りながら式子は自らの歌を仄かに思い浮かべた。
『……玉の緒よ 絶えなば絶えね ながらへば しのぶることの よわりもぞする。……このまま死んでもいいい。恋は今この時に燃え尽きて永遠に二人だけの秘密となるのだから……』
式子は迫りくる悦びに慄きながら燃ゆる想いに惑溺していった。
<後続九十の歌>


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