嵯峨野小倉山荘色紙和歌異聞~二十六の歌~
桂マンション Ⅱ 原作:貞心公
「あれ? ミユキちゃん、どないしたん。僕の部屋のドアの前に立って。外は寒いから中に入りぃな。逢いにきてくれたんか。……実は僕も逢いたかったんや。その荷物、なにかな。えっ、夕食の材料ってか。ほんまに嬉しいな。せや、これから嵐山いって紅葉見よか。今が見頃やし。なんやて、荷物どないするって。ここに置いといたら?」
「うん、そないする。後で夕食、作るね」
定家「小倉山の峰を美しくいろどってる紅葉葉なんやろな。小倉山 峰の紅葉葉 心あらば今ひとたびの みゆき待たなむ」
蓮生「優しい心で一杯や。そんなに散るのを急がずに、ミユキを待っていてくれへんかなって。ええ感じ」
定家「夕食、旨いやろね」