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【山陽】人丸駅 120%満喫する ホーム上に日本の標準時子午線(東経135度)が通る 柿本人麻呂ゆかりの駅

国道2号線 明石駅前の700m手前にある「人丸前」交差点を北へ入ったところに、山陽電車・人丸前駅があります。
 
山陽電車で最も乗降客の多い山陽明石の隣にある小さな駅ですが、駅チャンネルとしては、語るべきことがやたらと多い駅です。
 
まずはこの、不思議なネーミングに惹かれますよね。
人丸って。
 
丸っていう言葉は船の名前とか、ペットの名前とかで使われます。
わたしは、じゃじゃ丸とか、激おこぷんぷん丸とか、連想します。
 
当駅で言う人丸とは、万葉集第一の歌人、柿本(かきのもとの)人麻呂のことです。
「まろ」がなぜか「まる」になっていますが、とにかく、人の名前だったんですね。
 
柿本人麻呂は、飛鳥時代、特に41代持統天皇の時代に活躍した歌人です。
 
「万葉集」に長歌19首、短歌75首が収められています。
格調高く、独創的で、恋歌が多いのが特徴です。
 
有名なものに、「あしびきの 山鳥の尾の しだり尾の ながながし夜を ひとりかも寝む」などがあります。
ひとり寂しく寝る長い夜の情景が、目に浮かびますね。
 
歌の世界では超重要人物ですが、その生涯は謎に満ちています。
 
石見の国、現在の島根県益田市の沖合にあった、鴨島(かもしま)で死んだとされています。
えらい遠いところで没しましたね。
 
わたしは今、人麻呂は遠い地に流刑にされ、水死したのではないかと推察する、梅原猛の「水底の歌」を、トイレで読んでいます。
 
人麻呂の作とされる歌に、「ほのぼのと明石の浦の朝霧に 島隠れ行く舟をしぞもう」というものがあり、人麻呂ゆかりの地とされた当地の丘に、柿本神社が創建されました。
 
その人丸山に隣接して、明石市立天文科学館があります。
ここは日本の標準時子午線である東経135度のライン上にあります。
 
わたしが屋上にある日時計広場にいた時、ちょうどお昼の12時、正午の時間で、広場にある各種の日時計がいっせいに12を指し示しました。
 
今月の位置に足を置くことで、人間日時計もぴったり12時
半球型日時計もぴったり12時
多面体日時計もぴったり12時
ノーモン型日時計も、うーんまあだいたい12時です。
 
そして、ここにいて正午ということは、太陽が南中しているということであり、太陽が位置する方向は真南となります。
 
正午と言っても、例えば東京にいれば太陽は南中を過ぎて少し西にあり、福岡では、まだ南中しておらず少し東にあります。
ここにいれば、正午の時間、太陽の位置は真の意味での真南にあります。
なんちゅういいところだ!
 
今回、明石市立天文科学館に動画撮影の許可をもらいました。
展望台からの景色は、遠くに明石海峡大橋が見え、手前にJRと山電の線路、そして人丸前駅が見える、非常に素晴らしい眺めでした。
 
明石の町の子午線ライン上には、子午線郵便局や、子午線交番もあります。
町を挙げて、子午線フィーバーですね。
 
当駅のすぐ東、国道2号に面して、休(やすみ)天神社があります。
菅原道真が大宰府に流される途中、山陽道沿いの明石の宿駅に立ち寄った場所とされています。
その際、同情して嘆く駅長に、道真公は「駅長よ、驚くな。栄枯盛衰は世の定めだ」と語ったと伝えられています。
 
ちなみに現在人丸駅は無人駅です。
とはいえ、お忘れ物センターはあります。
 
シゴセンオーは、あかし時のまち大使。
怪獣や隕石から、地球を守ります。
 
これは南十字星ですね。
明石からは見えません。
 
当駅は、ホーム上に子午線が通ります。
日本の標準時子午線である東経135度と交差する鉄道は7線あり、神戸電鉄恵比須駅、JR加古川線の日本へそ公園駅、JR山陰本線の下夜久野(しもやくの)駅は、非常に近接したところに駅がありますが、子午線がホーム上を通っているのは、当駅だけです。
 
なんちゅういい駅だ!
(笑い)
2回目も、受けましたね。
 
当駅の開業は、1917年(大正6年)兵庫電気軌道の塩屋・明石間延伸時に開業しました。
 
東経135度が、日本の標準時子午線と定められたのは明治17年で、当駅開業時には子午線が通っている認識はあったと思われますが、まだ柿本神社の方が有名で、人麻呂にちなんだ駅名が採用されました。
 
1960年に明石市立天文科学館がオープンし、その頃から標準時子午線が通る町であることを押し出してきたものと思われます。
 
まあそれでも、「子午線駅」などと改名せず、「人丸駅」で通しているのは、ひとつの見識ですね。
 
1991年に、山陽明石駅と共に高架化されました。
当駅は普通しか止まらないわりにホーム有効長が長く、6両編成分に対応しています。
 
島式1面のみですが、景色がいいですね。
 
これですか。ホーム上にある子午線というのは。
よく目立ちますね。
 
貨物が通ります。
 
阪神の車両も通ります。
 
このラインを伸ばしていくと、天文台にぴったり合いますね。
そりゃあそうですよね。
 
地元の人は、このラインを誇りに思っていいと思います。
明石ってほんといいですよね。
橋もきれいですし、タコもおいしいです。
 
ホームの西寄りで、東の端にある階段からは、少し遠いですが、見る価値があります。
ホーム有効長を長くしたのは、これのためですかね。
 
人丸前駅、おすすめです。

https://youtu.be/La_uheNi_YA

 


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