この年私は高校に入った。
コミュニケーションが苦手な私はなかなかクラスになじめなかった。ただスポーツがわりと得意だったので、そこでずいぶん助けられた気がする。
高校2年生の時に生まれて初めてぎっくり腰というものを経験した。
昼休みの体育館で円陣を組んでバレーボールをやっていて、高いボールが来たので後ずさりしながらジャンプをしたときにグキッとなって、着地してから息もできないほど痛かった。
そこで痛い顔をするとみんなが心配するので、必死で我慢しながらバレーボールを続けていた。
自宅に帰ってから整形外科に行ったが、痛み止めをくれる程度で何も変わらなかった。
満員電車とバスに揺られる、地獄のような通学に耐えながら、それでも数日経つとだいぶ痛みが減ってきた。
その後も慢性的に痛かったので、高校3年生の受験が終わってから大学が始まるまでの長い休みを利用して、手術でも何でもして治してしまおうと思っていた。
母も心配して、評判の良い整形外科を調べてくれたので行ってきた。
歩いて30分くらい。
そこで言われたのが「腰椎骨軟骨症」。
調べてみたがそんな病名はなかった。今考えれば腰椎と椎間板の両方の問題だよということなのだろう。
先生が言うには、「これは治る病気ではないから一生うまく付き合っていくしかないよ」ということだった。ちなみに私の腰椎5番は棘突起が無い奇形らしい。続けて、「無理をしていると下半身不随になってしまうから無理はしないように」とのことだった。
言われた時にはまるで他人事のようで、「あぁそうなんだ」くらいにしか思っていなかった。
30分かけて歩いた帰り道、空はどんよりと曇っていて、時間とともに足取りも重くなり、どんよりした曇り空がのしかかってきたような感じだったのを覚えている。