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モーターの配線を調べてみよう

先日、モーター(ごく一般的なAC200Vのブレーキ付き三相誘導電動機)で動かしている装置のトラブル対応を行いまして、そのとき問い合わせのあった内容をもとに原因の調査と解決までの進め方の記録として書きおこしてみました。




1.第一報→リフターが動かない

第一報は、とある装置のリフター(とここでは呼ぶことにします)が動かないというものでした。

一口に動かないといっても原因がいくつか考えられます。すぐに思いつくところで、

a.リフターの機構がかじって動かない
b.駆動ベルトやチェーンが切れるなどして空回りしている
c.モーターが焼けて動かない
d.ブレーキが開放されていない
e.モーターに電源が供給されていない

このどれかでしょう。

何かアラームメッセージ等は出ていないか、とヒヤリングしてみましたが電話では情報を集めきれなかったため直接現地へ向かうことにしました。


2.状況確認→インバータ過負荷異常が発生していた

なにかおかしい!動かない!はい電話!
でもいいのですが、話を一歩進めるのならまずはアラーム表示の画面やランプを見ることです。

現場で現象を確認してアラーム画面を見てみると、モーターを駆動させるインバータの過負荷異常でした。そしてモーター自体は唸って動こうとしていました。

この時点で、a.リフターの機構がかじって動かないか、d.モーターのブレーキが開放されていないかのどちらかに原因が絞れます。


3.モーターのブレーキを調べてみた

機械側を調べるより前に、ブレーキが開放されているかを確認することにしました。そっちの方が早く調べ終わるからです。

ブレーキは、単相AC200Vをモーターの整流器に供給することで開放されます。
同時切りだの別切りだのはここでは割愛しますが、どの配線方法でも単相をかけることはかわりません。

ちなみにブレーキを開閉するとカチッと音がなるので、開いているかどうかはそれで判断できます。


4.ブレーキの配線を調べてみた

ようやく配線の話が出てきました。

結論からいうと、やはりブレーキの配線が切れていました。
ブレーキの配線が一本あそんでいて電圧が乗らず、ブレーキがかかったままモーターだけが動いていたのでインバータが過負荷となっていたわけですね。

断線箇所を繋ぎなおして動作確認。無事にブレーキが開閉するようになり、めでたく復旧となりました。


番外編.ブレーキ配線が切れていないのにブレーキが開かない場合

もし、ブレーキが開いていないが配線はちゃんと繋がっているとしたら。

こうなると少々複雑です。
整流器のご臨終を疑ってモーターごと取り替えてみるかとなるもんですが、それとは別に制御盤内のブレーキ回路を順に追いかけていくこともまあ必要です。

・ブレーキ回路のリレーもしくは電磁接触器の接点が焼けている
オンしているのに二次側に電圧がかかっていないことになります。
二次側の電圧をテスターで調べればわかります。
焼けているなら、すべきことは交換です。

・リレーもしくは電磁接触器がオンしていない
駆動電圧がかかっているかをテスターで調べます。かかっていれば、すべきことは交換です。
かかっていないのであれば、駆動回路の配線を辿っていくことになります。

・PLCの出力が故障している
これもテスターで調べればわかります。故障しているのであれば交換ですが、空いている出力に繋ぎ替えてソフトの出力番号をそれに変えてしまうという荒業もあります。(というか応急処置としては結構やります)


なに、テスターでどこをあたればいいかわからない?部品の取説なり電気図面なり探して読みんしゃい!

問題を解決するにあたって、取説を探して読む技術、というか根気、というか?がある意味いちばん大切な要素なのかもしれません。

仮説をたてて、検証して、確定させる。違うのであれば次の仮説をたてる…
地味な作業の積み重ねですが、どこのどんな業界でもだいたいそんなもんです。

腰を据えて、じっくりいこうではありませんか。

それでは。


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